【税理士解説】免税事業者からの仕入れ、その「仮払消費税等」は損金になりません!法人税の落とし穴
2026/08/03
【税理士解説】免税事業者からの仕入れ、その「仮払消費税等」は損金になりません!法人税の落とし穴
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
令和8年10月1日から、免税事業者などインボイス発行事業者以外の方からの仕入れについて、経過措置による控除割合が80%から70%へと変わります。見落とされがちなのが、「控除できなかった30%部分を法人税でどう扱うか」という論点です。会計ソフトが自動計上した仮払消費税等をそのままにすると、思わぬ申告誤りにつながります。今回は、消費税経理通達(法人税)の考え方をもとに実務上の注意点を解説します。
1.控除できない消費税は「取引の対価」に含めるのがルール
税抜経理方式では、仕入れの際に本体価格と消費税額とを区分して「仮払消費税等」に計上します。しかしインボイス制度のもとで仮払消費税等として計上できるのは、仕入税額控除の対象となる金額に限られます。
したがって、免税事業者からの仕入れについて消費税相当額の全額を仮払消費税等として経理していても、控除できない部分は仮払消費税等ではなく、その取引の対価の額に含めて法人税の課税所得金額を計算します(消費税経理通達3の2、14の2)。
例えば令和8年10月に、免税事業者から110万円(税込)で器具備品を購入した場合、控除できるのは消費税相当額10万円の70%である7万円です。仕訳は次のとおりです。
(借方)器具備品 1,030,000円 /(貸方)現金預金 1,100,000円
(借方)仮払消費税等 70,000円
控除できない3万円は、経費であればその経費の額に、資産であればその取得価額に含まれます。ここが落とし穴で、建物や機械などの減価償却資産の場合、この3万円はその事業年度に全額が損金となるわけではなく、減価償却を通じて耐用年数にわたり費用化されます。
2.事務負担を軽くする3つの選択肢
仕入先ごとにインボイス発行事業者かどうかを確認して経理するのは大きな負担です。令和5年12月の通達改正では、負担を軽減する取扱いが整備されました。
1つ目は、簡易課税制度を適用している場合の特例です。この制度では、適格請求書の有無にかかわらず仕入税額控除が計算されます。そこで、継続適用を条件として、すべての課税仕入れについて支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象は108分の8)を乗じた金額を仮払消費税等とする経理が認められています(消費税経理通達1の2)。2割特例を適用している場合も、経過的取扱いにより同様の処理ができます。
2つ目は、経過措置期間中でも、消費税相当額を取引の対価の額と区分して経理しなかった場合には、仮払消費税等はないものとして所得金額を計算できるという取扱いです。経過措置終了後の原則的な取扱いを先取りするもので、簡易課税制度等を適用していない事業者も選択できます。
3つ目は、税込経理方式への変更です。会計処理は継続適用が原則ですが、インボイス制度の導入を契機として変更する場合には、法人税法上は特に問題とならないとされています。
3.交際費の「1人1万円」判定にも影響!!
もう一つ注意したいのが交際費です。飲食費のうち1人当たり1万円以下のもの(令和6年4月1日以後の支出。社内飲食費を除きます)は交際費等から除かれますが、この1万円の判定は、その法人が採用している経理方式によって行います。税込経理方式なら税込金額、税抜経理方式なら税抜金額で判定します。
問題となるのが免税事業者のお店で飲食した場合です。控除できない部分は対価の額に含まれるため、税抜経理方式でも計上額が上がります。1人当たり1万円以下におさまる税込金額の上限は、1円未満を切り捨てる場合、控除割合80%の期間は10,784円ですが、70%となる令和8年10月から令和10年9月までは10,679円まで下がります。1万円ぎりぎりの会食では結論が変わりかねません。
さらに、税抜経理方式を採用し、課税売上高が5億円超または課税売上割合が95%未満である法人では、控除対象外消費税額等が生じます。このうち交際費等に係るものは、交際費等の額に含めて損金不算入額を計算する必要があります(消費税経理通達12注2)。別表十五への計上漏れが起きやすい部分です。
まとめ
令和8年10月1日以降、免税事業者からの仕入れで「控除できない部分が30%に増える」ことは、裏を返せば「取引の対価の額に含めるべき金額が増える」ことを意味します。金額が大きいほど、取得価額や交際費の判定への影響も大きくなります。会計システムの税区分設定を見直すとともに、自社にとってどの経理方式が有利かを、この機会にご検討ください。
「うちは税込経理に変えたほうがよい?」「免税事業者から買った資産の取得価額はいくらになる?」といったご相談は、渋谷区恵比寿の税理士法人小原会計までお気軽にお問い合わせください!
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