「経費だから」と油断しない!交際費等の適正管理が会社を強くする理由
2024/10/01
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
令和6年度税制改正では、法人税の交際費に関するルールが一部見直され、これまで5千円以下だった1人あたりの飲食費の基準が1万円以下に引き上げられました。
これにより、中小企業や経営者の方々の接待費用の取り扱いに影響が出てくると考えられます。
しかし、交際費の活用には慎重な姿勢が求められます。単に上限が引き上げられたからといって、安易に使いすぎると、会社の利益を圧迫し、逆効果になりかねません。
本記事では、交際費等の概要や適切な支出管理のポイントについて解説します。
1.交際費等とは何か?
まず、交際費等とは、得意先や仕入先、取引先など、会社の事業に関係する相手との関係を維持・強化するために支出されるお金のことです。
具体的には、接待や贈答、慰安会などの費用がこれに該当します。
原則として、交際費等は全額が損金(法人税の計算上、経費として控除できる費用)に算入されないこととされていますが、中小企業の場合、年間800万円までの交際費は損金として計上することが可能です。
交際費に含まれない支出(損金に算入できる支出)として以下の例も挙げられます。
・従業員の慰安のために行う運動会や旅行等の費用
・主に社外の人との飲食等のために使う費用で、一定金額(1万円)以下のもの
・カレンダーや手帳、うちわなどの贈答品費用
・会議の際に出す弁当や茶菓等の費用
・新聞や雑誌の取材のために行う座談会費用
今回の改正では、2番目の「主に社外の人との飲食等のための費用」における「一定金額」が引き上げられました。
令和6年4月1日以降に支出する飲食費については、1人あたり1万円以下であれば交際費としてではなく、「交際費以外の費用」として損金に算入できます。
2.損金算入のための条件
これらの飲食費を損金算入するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
具体的には、下記のような事項を記載した領収書等を保存しなければなりません。
【自社で記入するもの】
①飲食の目的や具体的内容
②飲食に参加した得意先や取引先などの氏名や関係性
③飲食に参加した人数
【あらかじめ記載されているもの】
④ 飲食の実施日
⑤ 領収書の宛名
⑥ 飲食費の総額
⑦ 但し書き(例えば「接待費」など)
⑧ 飲食店の名称および所在地
さらに、2023年10月から導入されたインボイス制度における記載要件も満たしていることを確認しましょう。
これにより、経理上の不備や税務調査時のトラブルを未然に防ぐことができます。
3.帳簿への正確な記載が重要
領収書の保存と併せて、帳簿にも正確な情報を記載することが求められます。
例えば、取引先名欄には「〇〇飲食店」、摘要欄には「取引先〇〇株式会社の〇〇氏との商談会食」など、具体的に記載します。
単に「取引先接待」などと書くのでは、税務調査で事業に関連する支出と認められない可能性があるため注意が必要です。
4.交際費等を支出する際の注意点
交際費等を効果的に使うには、支出の目的、効果、予算を意識することが重要です。
交際費等を使う典型的な目的としては、以下のようなケースが考えられます。
①既存取引先へのお礼と今後の取引継続のため
②取引量や取引単価を増やす交渉のため
③新規取引の開始や新商品・サービスの販路拡大のため
いずれの場合も、売上や利益の増加、円滑な取引の継続を目的としていることを意識しましょう。
支出の効果を検証するためには、例えば、半年に一度、交際費を取引先ごとに集計し、売上との関連性をチェックすると良いでしょう。
これにより、どの取引先に対して交際費を使うべきか、また支出の頻度や金額の見直しをするべきかが明確になります。
5.「経費になるから」という安易な考えは禁物
交際費等の中には、私的な支出が混ざるリスクもあります。例えば、役員が個人的な友人とのゴルフ代を会社経費で落とすことや、家族との飲食代を交際費として処理するケースです。
これらは、税務上「役員給与」と見なされ、会社の損金として認められなくなります。
さらに、このような支出が発覚した場合、税務リスクだけでなく、従業員の士気低下や社内モラルの問題にもつながる恐れがあります。
経費として落とせるからといって安易に支出するのではなく、経費の内容が事業目的に合致しているかどうかを常に確認する姿勢が求められます。
6.まとめ
令和6年度の税制改正により、1人あたり1万円以下の飲食費は交際費等から除外されるようになりましたが、その適用には正確な領収書の管理と帳簿の記載が不可欠です。
また、交際費を使う際には、目的、効果、予算を明確にし、定期的に検証を行うことで、無駄な支出を防ぎ、会社の利益を最大化させることを目指しましょう。
経費だからといって無駄に使わず、適切な管理を徹底しましょう。
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