インボイス制度、2割特例について解説します。
2024/01/15
こんにちは。
渋谷区恵比寿の税理士小原です。
今回は、インボイス登録によって課税事業者となる方が適用できる2割特例について解説します。
1.2割特例とは
2割特例とは、「インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する軽減処置」といい、インボイス登録をしたことで免税事業者から課税事業者になった事業者については、売上に係る消費税額の2割を消費税として納付することができるといった制度です。この制度は、仕入税額控除の金額を、特別控除税額(課税標準額の合計額に対する消費税額から売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額の80%に相当する金額)とすることで、売上金額の消費税額10%のうち、2割を消費税として納付することとなります。
2割特例の適用に当たっては、事前の届出は必要なく、申告時に消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することで適用を受けることができます。(28改正法附則51の2③)
また、2割特例を適用し申告した場合であっても、翌年も継続しなければいけないといった制限はなく、課税期間ごとに2割特例を適用するかを選択することができます。
2.消費税の申告方法
消費税の計算方法については、「2割特例」の他に、「一般課税」、「簡易課税」があります。
- ①一般課税
一般課税とは、消費税の計算の原則的な方法となります。この方法では、売上に係る消費税額から、仕入に係る消費税額を差し引いて納付税額を計算します。この方法では、売上金額の集計の他に、仕入や経費の金額について、実額での計算が必要となり、小規模な事業者にとって、負担が大きくなります。
- ②簡易課税
簡易課税とは、売上に係る消費税額から売上税額にみなし仕入れ率を掛けた金額を差し引いて納付税額を計算します。この方法では、仕入税額の実額計算は不要となりますが、業種に応じたみなし仕入率の使用し、事前の届出が必要となります。
- ③2割特例
2割特例とは、売上金額の消費税額のうち2割を消費税として納付する方法となりますので、一般課税のように仕入額の実額について計算が不要になります。また、事前の届出も不要となり、一般課税や簡易課税よりも、さらに簡易な手続きで消費税額を計算することができます。
3.2割特例を適用できる期間
2割特例は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの各課税期間に適用されます。個人事業主は令和5年分から令和8年分までの4回、3月決算の法人は令和5年期から令和9年期までの4回の申告が対象となります。
4.2割特例を適用するにあたっての注意点
2割特例は、免税事業者がインボイス登録をし、インボイス発行事業者となった場合に、適用することができます。(28改正法附則51の2①)
課税事業者がインボイス登録をした場合であっても、インボイス登録を行った課税期間の翌課税期間以降については、基準期間の課税売上が1千万以下である場合には、2割特例を受けることができます。
なお、2割特例を適用できる期間であっても、課税期間を1ヵ月又は3ヵ月に短縮している場合や、令和5年10月1日以前から消費税課税事業者選択届出書を提出し、引き続き課税事業者となっている場合は2割特例の適用を受けることができません。
詳細は、国税庁HPをご確認ください。
5.最後に
当事務所では、個人事業主の方や法人の消費税申告も行っております。令和5年10月1日より始まったインボイス制度により、より消費税の制度が複雑化しました。また、それまでは免税事業者として消費税の申告が必要なかった方も、当該制度を機に消費税の申告が必要になる場合もあると思います。これを機に税金の専門家である税理士に一度、ご相談をしてはいかがでしょうか。当所では、そういった方々のご相談も受け付けております。お気軽にお問い合わせください。
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税理士法人小原会計/小原崇史公認会計士事務所
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