金融機関が注目する社長の経営姿勢とは?
2024/09/02
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
会社を運営する中で、金融機関との関係性を良好に保つことは非常に重要です。
特に、中小企業が資金調達や融資を受ける際、金融機関が注視するのは社長の経営姿勢と経営能力です。金融機関からの信頼を得るためには、具体的なデータに基づいて自社の現状や将来を説明できる能力が社長には求められます。
1.金融機関が重視するポイントとは?
まず、金融機関が注目するのは、社長が自社の状況を「数字で語れる」かどうかです。具体的には、現在の借入金の状況を理解し、必要資金がいくらなのか、今後いくらの売上高や利益を確保する必要があるのか、そしてそのための具体的な対策を説明できることが重要です。金融機関はこうした情報を基に、社長がいかに経営に真摯に取り組んでいるかを判断します。
2.必要資金の把握がカギ
「必要資金」とは、毎期必ず支払う必要があるお金のことです。具体的には、年間人件費、役員報酬、家賃などの固定費、借入金の返済、リース債務などが含まれます。これらの費用は、売上高から変動費を除いた「限界利益額」から支払われます。そのため、予想売上高と予想限界利益を計算し、必要資金が限界利益以下であるかどうかをチェックする必要があります。
もし、必要資金が限界利益を上回る場合には、以下の対策が必要となります
・売上高の増加:新規顧客の獲得や既存顧客のリピート購入を促す施策を講じる。
・限界利益率の向上:製品やサービスの価格見直し、原価削減を図る。
・固定費の削減:人件費や役員報酬、家賃の見直しを検討する。
これらの対策を整理し、具体的なアクションプランとして提示することで、金融機関からの信頼度はさらに高まります。
3.正確なデータに基づく経営計画が重要
必要資金や予想限界利益の把握、さらには経営計画を策定する際の前提条件となるのが、正確な月次データです。日々の仕訳入力を怠らず、毎月会計事務所にチェックしてもらうことで、経営の現状を正確に把握し続けることが求められます。
①情報の非対称性を解消するために
金融機関が企業の経営状況を把握するための情報源は、主に決算書です。しかし、中小企業においては、金融機関が持つ情報は決算書などの公式な書類に限られており、これを「情報の非対称性」と呼びます。金融機関としては、融資先の最新情報を把握したいと考えています。そのため、決算書だけでなく、月次試算表を定期的に提出し、経営状況を金融機関と共有することが重要です。
特に、物価高や資源高、円安などの外部環境の変動が激しい昨今、業績の良し悪しにかかわらず、定期的に金融機関に最新の経営情報を開示していくことが、情報の非対称性を解消する鍵となります。これにより、資金が必要なタイミングで迅速に融資の相談を持ちかけることができるため、企業にとっても大きなメリットとなります。
②経営姿勢をアピールするコツ
・定期的な情報開示:業績の良し悪しに関わらず、毎月の月次試算表を金融機関に提出し、透明性を保つこと。
・業績悪化の原因把握:一時的な業績悪化の原因を分析し、今後の回復見込みについて自信を持って説明できるようにする。
・計画的な経営実施:経営計画に基づいて確実に経営を行い、その進捗状況を金融機関にしっかり説明する。
4.まとめ
金融機関との良好な関係を築くためには、経営の透明性とデータに基づいた正確なコミュニケーションが欠かせません。自社の状況を正確に数字で語れる社長であること、定期的に最新の情報を開示すること、そして状況に応じた柔軟な経営判断を行うことが、金融機関からの信頼を得るための重要なポイントです。
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