海外渡航費用の経理ルールとは
2024/08/21
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
今回は、法人が役員や使用人の海外渡航に際して支給する旅費について、その取り扱いを解説いたします。特に、業務上必要な旅費として経理される条件や、業務に関連しない旅行の費用が給与として扱われるケースについて詳しく見ていきます。
1.海外渡航における旅費の取り扱い
法人が役員や使用人の海外渡航に際して支給する旅費は、その渡航が法人の業務の遂行上必要であり、その旅費が通常必要と認められる範囲内であれば、旅費として法人の経費に計上することができます。しかし、この「業務の遂行上必要」と認められない渡航や、その旅費が過大である場合には、その支給額の一部または全部が、役員又は使用人の給与として扱うこととなります。
役員の給与として取り扱う場合は、税務上の役員報酬に該当しないため、税務上の費用とならないことに注意が必要となります。
2.業務の遂行上必要と認められる渡航の判定
法人が役員や使用人の海外渡航を業務上必要とするかどうかは、旅行の目的、行き先、経路、期間などを総合的に判断する必要があります。
例えば、以下のようなケースは原則として業務に直接関連しないとされます。
・観光目的の旅行
・団体旅行に応募して行う旅行
・同業者団体が主催する観光目的と認められる団体旅行
ただし、これらの旅行であっても、その一部が業務に関連している場合は、その部分に対応する旅費のみが経費として認められます。
3.業務に関連する旅行と観光を併せて行う場合
業務に関連する海外渡航に観光を併せて行う場合、その旅費の取り扱いが複雑になります。例えば、商談や契約のための渡航が主目的であり、その機会に観光も行う場合、往復の旅費は業務上必要なものと認められる可能性があります。しかし、観光部分に対応する費用については、給与として扱われることになります。
4.同伴者の旅費について
業務に関連する渡航に際して、役員や使用人の配偶者やその他の家族を同伴する場合、その費用は経費として認められないのが原則です。しかし、特定の条件下では例外として認められることがあります。
たとえば、身体障害者で常時補佐を必要とする場合や、国際会議において配偶者の同伴が業務遂行上不可欠である場合などが該当します。
5.個人事業主自身の海外渡航費用
個人事業主が自己の海外渡航に際して支出する費用についても、業務の遂行上直接必要であると認められる場合に限り、その費用を経費として計上できます。具体的には、交通機関の利用費や宿泊費がこれに該当します。ただし、家族など事業に関与していない者の旅費は、原則として経費に算入できません。
6.結論
海外渡航に際して支給される旅費は、法人や個人事業主にとって重要な経費ですが、その取り扱いには慎重な判断が必要です。渡航の目的や内容、そして支給される金額が社会通念上合理的であるかを確認し、不当に多額な費用や業務に関連しない渡航費が給与として扱われるリスクを避けることが重要です。
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税理士法人小原会計/小原崇史公認会計士事務所
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