渋谷区恵比寿でスタートアップ支援|事業計画の策定方法について解説
2024/06/27
渋谷区恵比寿でスタートアップ、創業、開業、起業支援を行っている税理士法人小原会計の小原です。
今回は、事業計画の策定方法について解説いたします。
事業計画の策定は、中小企業の経営において重要なプロセスです。事業計画は、企業の目標を明確にし、具体的な戦略を策定し、企業の成長と成功を支えるための道筋を示します。本記事では、事業計画の策定手順とその重要性について、詳細に解説します。
1. 事業計画の策定手順
事業計画の策定には、以下の手順があります。
現状分析: 現在の状況を客観的に把握します。
問題の抽出: 目標と現状のギャップを明確にします。
課題の設定: 問題を解決するための課題を設定します。
経営戦略の策定: 中長期的な目標を達成するための戦略を立案します。
アクションプランの策定: 誰が、いつまでに、何を行うかを具体的に決定します。
数値計画の策定: 売上やコストなどの数値目標を設定します。
2. 現状分析
現状分析は、事業計画の第一歩です。現状分析には以下の手法があります。
①外部環境分析
外部環境分析では、企業を取り巻く市場や競合の状況を把握します。代表的なフレームワークとして、以下の2つがあります。
・PEST分析: 政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの視点で外部環境を分析します。
・ファイブフォース分析: 売り手の交渉力、買い手の交渉力、業界内の競争、新規参入の脅威、代替品の脅威の5つの視点で業界内の競争環境を分析します。
外部環境分析の具体例として、以下の項目が考えられます。
・市場動向: 市場の成長率、競合他社の動向、新規参入企業の数など。
・経済環境: 金利動向、為替レート、インフレ率など。
・技術環境: 新技術の登場、技術革新のスピード、特許の数など。
ⅰ.PEST分析の詳細
PEST分析は、企業の外部環境を4つの視点から分析するフレームワークです。
・政治(Politics): 政府の政策や法規制、政治の安定性などが企業の事業活動に与える影響を分析します。例えば、税制改正や環境規制の強化が事業に与える影響を評価します。
・経済(Economy): 経済成長率、失業率、金利、為替レートなどの経済指標を分析します。これにより、景気の動向や消費者の購買力が企業の業績にどのように影響するかを把握します。
・社会(Society): 人口動態、ライフスタイルの変化、消費者の価値観などの社会的要因を分析します。例えば、高齢化社会におけるシニア向け商品の需要増加などを予測します。
・技術(Technology): 技術革新のスピード、新技術の導入、研究開発の動向などを分析します。これにより、新技術が事業に与える機会や脅威を評価します。
ⅱ.ファイブフォース分析の詳細
ファイブフォース分析は、業界内の競争環境を5つの要因から分析するフレームワークです。
・売り手の交渉力: 供給者の力がどれだけ強いかを分析します。供給者が少数であれば交渉力が強くなり、企業のコスト増加につながる可能性があります。
・買い手の交渉力: 顧客の力がどれだけ強いかを分析します。顧客が価格に敏感で代替品が多い場合、企業は価格競争に巻き込まれる可能性があります。
・業界内の競争: 業界内の競合他社の数や競争の激しさを分析します。競争が激しい業界では、差別化戦略が重要となります。
・新規参入の脅威: 新規参入者がどれだけ容易に参入できるかを分析します。参入障壁が低い場合、競争が激化する可能性があります。
・代替品の脅威: 代替品がどれだけ存在するかを分析します。代替品が多い場合、企業は価格競争や市場シェアの低下に直面する可能性があります。
②内部環境分析
内部環境分析では、企業内部の強みと弱みを把握します。以下のフレームワークが有用です。
・VRIO分析: 経済価値(Value)、稀少性(Rarity)、模倣困難性(Inimitability)、組織(Organization)の4つの視点で経営資源を分析します。
・バリューチェーン分析: 企業の価値創造プロセスを段階ごとに分解し、それぞれの段階での強みと弱みを把握します。
ⅰ.VRIO分析の詳細
VRIO分析は、企業の経営資源を以下の4つの視点から評価するフレームワークです。
・経済価値(Value): その経営資源が競争優位性を持つためにどれだけ価値があるかを評価します。価値が高い経営資源は、企業にとって競争力の源泉となります。
・稀少性(Rarity): その経営資源がどれだけ稀少であるかを評価します。稀少な経営資源は、競合他社に対して優位性を持つことができます。
・模倣困難性(Inimitability): その経営資源がどれだけ模倣されにくいかを評価します。模倣困難な経営資源は、持続的な競争優位性を維持するために重要です。
・組織(Organization): その経営資源を最大限に活用するための組織的な仕組みが整っているかを評価します。適切な組織構造がなければ、価値ある経営資源も十分に活用されません。
ⅱ.バリューチェーン分析の詳細
バリューチェーン分析は、企業の活動を価値創造の観点から分析するフレームワークです。以下の主要な活動と支援活動から構成されます。
主要活動:
・購買物流: 材料や部品の調達および管理。
・製造: 製品の製造プロセス。
・出荷物流: 製品の出荷および配送。
・販売・マーケティング: 製品の販売およびマーケティング活動。
・サービス: 製品のアフターサービスおよび顧客サポート。
支援活動:
・全般管理: 経営管理や財務、人事、法務などの管理業務。
・人事管理: 人材の採用、育成、評価などの活動。
・技術開発: 製品やプロセスの研究開発活動。
・調達: 原材料や設備の調達活動。
バリューチェーン分析を行うことで、企業がどの活動で競争優位を持っているか、または改善が必要な部分を特定できます。
3. 問題点と課題の抽出方法
現状分析の結果から、企業が直面する問題点を抽出し、それを解決するための課題を設定します。
・問題点: 問題点とは、目標と現状のギャップをもたらす原因のことです。
・課題: 課題とは、問題点を解決するための具体的な行動や方向性です。
MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)のフレームワークを用いて、問題点を重複なく、漏れなく抽出し、ロジックツリーを使って因果関係を明確にします。
①MECE分析の詳細
MECE分析は、全ての要素が重複せず、かつ漏れがない状態で問題を分析する手法です。これにより、問題の全体像を把握しやすくなります。
・Mutually Exclusive(相互排他的): 各要素が重複せず、明確に区別されている状態。
・Collectively Exhaustive(完全網羅的): 全ての要素が網羅されている状態。
例えば、売上の低下原因を分析する際に、価格、品質、プロモーション、流通チャネルなどをそれぞれ独立した要素として分析し、それぞれの要素が全ての原因をカバーしているかを確認します。
②ロジックツリーの詳細
ロジックツリーは、問題を因果関係に基づいて分解し、具体的な解決策を導き出す手法です。以下のように縦軸に因果関係、横軸にMECEの視点を持ちます。
・WHYツリー: 問題の原因を探るためのツリー。例えば、「売上が低下している」という問題に対して、「なぜ売上が低下しているのか?」を追求します。
原因1: 顧客数の減少
原因2: 客単価の低下
原因3: 競合他社の増加
・HOWツリー: 解決策を探るためのツリー。例えば、「売上を増加させるにはどうすれば良いか?」を追求します。
解決策1: 新規顧客の獲得
解決策2: 既存顧客のリピート率向上
解決策3: 客単価の向上
4. 経営戦略の策定
経営戦略は、企業が中長期的な目標を達成するための基本的な方向性を示します。
①成長戦略
成長戦略には以下の種類があります。
・市場浸透戦略: 既存市場でのシェア拡大を目指します。
価格競争力の強化
プロモーション活動の強化
顧客サービスの向上
・新製品開発戦略: 既存市場に新製品を投入します。
顧客ニーズに応じた新製品の開発
技術革新を取り入れた製品改良
市場テストの実施
・新市場開拓戦略: 既存製品を新市場に展開します。
新規市場の調査と参入計画
国際展開の推進
地域ニーズに応じた製品展開
・多角化戦略: 新製品を新市場に投入します。
異業種参入の検討
戦略的提携や買収
新市場向け製品の開発
②競争戦略
競争戦略には以下の種類があります。
・コストリーダーシップ戦略: コストを最小化し、競合他社よりも低価格で提供します。
生産効率の向上
仕入れコストの削減
スケールメリットの活用
・差別化戦略: 独自の製品やサービスで差別化を図ります。
高品質な製品の提供
独自技術の導入
顧客サービスの充実
・集中戦略: 特定の市場やニッチ市場に焦点を当てます。
特定市場でのブランド確立
特定顧客層のニーズに特化
専門知識や技術の活用
5. アクションプランの策定
アクションプランは、経営戦略に基づいて具体的な行動計画を立てるプロセスです。アクションプランでは、以下の要素を明確にします。
・具体的施策: 課題達成に向けた具体的な施策を立案します。
・KPI(Key Performance Indicators): 施策の効果を測定するための指標を設定します。
・実行責任者: 誰が責任を持って実行するかを明確にします。
・スケジュール: 実行のタイミングと順序を決定します。
アクションプランの例として、以下の項目が挙げられます。
・製品開発: 新製品の企画・開発、試作品の作成、マーケットテストなど。
・マーケティング活動: プロモーションキャンペーンの企画、広告の出稿、展示会への参加など。
・販売戦略: 販売チャネルの拡大、販売スタッフのトレーニング、販売促進活動など。
6. マーケティング戦略
マーケティング戦略は、売上を増加させるための重要な戦略です。以下の手法を活用して策定します。
①STP分析
STP分析は、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の3つのステップで構成されるマーケティング手法です。
・セグメンテーション: 市場を細分化し、特定の顧客セグメントを識別します。例えば、年齢、性別、収入、ライフスタイルなどで市場を分けます。
・ターゲティング: 複数のセグメントの中から最も魅力的なセグメントを選びます。選択したセグメントに対してリソースを集中させます。
・ポジショニング: 選択したターゲットセグメントに対して、製品やブランドの位置付けを明確にします。例えば、「高品質で信頼性のあるブランド」というイメージを打ち出します。
②4P分析
4P分析は、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4つの要素からなるマーケティングミックスを分析する手法です。
・製品(Product): 製品の品質、デザイン、機能、ブランドなどを分析します。新製品の開発や既存製品の改良を計画します。
・価格(Price): 製品の価格設定、価格戦略、価格弾力性などを分析します。競争力のある価格設定を行い、利益最大化を目指します。
・流通(Place): 製品の流通チャネル、物流、在庫管理などを分析します。効率的な流通システムを構築し、顧客への迅速な配送を実現します。
・プロモーション(Promotion): 広告、販売促進活動、パブリシティ、ダイレクトマーケティングなどを分析します。効果的なプロモーション戦略を展開し、ブランド認知度を向上させます。
7. 数値計画の策定
数値計画は、アクションプランに基づいて具体的な売上やコストを数値化するプロセスです。以下のステップで進めます。
・売上計画: 客数や客単価の増加を見積もります。市場調査や過去の販売データを基に予測します。
・コスト計画: 売上原価や人件費、その他経費を数値化します。コスト削減の施策も含めて計画します。
・PL計画(損益計画): 売上とコストのデータを基に損益計算書を作成します。利益目標を設定し、必要な資金調達計画も策定します。
数値計画の策定においては、現実的かつ達成可能な目標を設定することが重要です。また、計画の進捗状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて見直しを行います。
8.まとめ
事業計画の策定は、中小企業の経営において不可欠なプロセスです。現状分析から始まり、問題点と課題の抽出、経営戦略の策定、具体的なアクションプランの立案、そして数値計画の策定まで、一連の手順を丁寧に行うことで、企業は持続的な成長と競争力の向上を図ることができます。特に、変化の激しい現代においては、事業計画の重要性がますます高まっています。企業の未来を切り開くために、計画策定にしっかりと取り組んでいきましょう。
----------------------------------------------------------------------
税理士法人小原会計/小原崇史公認会計士事務所
住所 : 東京都渋谷区恵比寿南1-20-6 第21荒井ビル4F
電話番号 :03-6890-2570
渋谷で安心できる顧問サービス
渋谷で充実した開業支援を提供
----------------------------------------------------------------------