配偶者控除と特別控除の違いを簡単解説
2024/11/11
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
本日は「配偶者控除と配偶者特別控除」について、その違いを中心に解説します。多くの方が年末調整や確定申告で目にする項目ですが、要件や控除額の詳細は意外と見落とされがちです。
この記事では、配偶者控除および配偶者特別控除の仕組み、適用要件、具体的な控除額などをわかりやすく整理しました。
1.配偶者控除とは
配偶者控除は、納税者の配偶者が一定の所得要件を満たす場合に、納税者の所得から控除額を差し引ける制度です。
この控除により、納税者の税負担を軽減することができます。
①主な要件
対象となる配偶者は、下記4つの要件全てに当てはまる人となります。
配偶者が民法上の配偶者であること(内縁関係は対象外)。
配偶者が納税者と生計を一にしていること。
配偶者の年間合計所得金額が48万円以下であること(給与収入のみの場合は103万円以下)。
配偶者が事業専従者として給与を受けていないこと。
②控除額
納税者の合計所得金額に応じて、控除額は以下のように変わります。
納税者本人の合計所得金額 | 一般の控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者 |
---|---|---|
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
老人控除対象配偶者とは、12月31日時点の年齢が70歳以上の配偶者となります。
また、配偶者が障害者の場合には、上記控除の他に障害者控除27万円(特別障害者40万円、同居特別障害者75万円)を控除することができます。
2.配偶者特別控除とは
配偶者控除を受けられない場合でも、配偶者の年間合計所得金額が48万円超133万円以下であれば、「配偶者特別控除」の適用が受けられます。
納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であることが条件です。
①配偶者特別控除の要件
控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。
配偶者が下記の要件全てに該当すること
・配偶者が民法上の配偶者であり、内縁関係ではない。
・控除を受ける人と生計を一にしていること。
・年間の合計所得金額が48万円超、133万円以下であること。
・配偶者が給与所得者の扶養控除等申告書に記載されている源泉控除対象配偶者ではない。
②控除額
控除額は、納税者本人の合計所得金額および配偶者の所得金額により変動します。
最高控除額は38万円で、控除額は下記の表のようになります。
配偶者の合計所得金額 | 納税者の所得が900万円以下 | 900万円超950万円以下 | 950万円超1,000万円以下 |
---|---|---|---|
48万円超95万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
95万円超100万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
100万円超105万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
105万円超110万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
110万円超115万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
115万円超120万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
120万円超125万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
125万円超130万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
130万円超133万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
3.配偶者控除の適用例
配偶者の所得が給与のみの場合、年間の給与収入が103万円以下であれば、給与所得控除額(55万円)を引いた後の所得は48万円以下となります。
そのため、配偶者控除が受けられます。
例:
配偶者の給与収入:95万円
給与所得:95万円 - 55万円 = 40万円(合計所得金額)
この場合、40万円の所得は48万円以下ですので、配偶者控除が適用されます。
・給与所得以外のケース
不動産所得や譲渡所得など他の所得がある場合でも、年間の合計所得金額が48万円以下であれば、配偶者控除を受けられます。
例:
給与収入:80万円、給与所得控除後の所得:25万円
不動産所得:10万円
合計所得金額:25万円 + 10万円 = 35万円
この場合も、48万円以下のため配偶者控除の対象です。
4.合計所得から除かれるものについて
控除判定においては、特定の非課税所得は合計所得金額に含まれません。
以下のような例が挙げられます。
・特定公社債等の利子や上場株式等の配当、少額配当など確定申告不要制度の対象となり、確定申告をしないもの
・特定口座の源泉徴収選択口座内の株式等の譲渡所得で、確定申告をしないもの
・源泉分離課税の預貯金利子や一般公社債等の利子等。
・源泉分離課税とされる抵当証券の利息や一時払養老保険の差益などの金融類似商品の収益
・源泉分離課税とされる一定の割引債の償還差益
5.配偶者控除と特別控除のまとめ
配偶者控除と配偶者特別控除は、どちらも納税者の税負担を軽減するための制度ですが、それぞれの適用要件や控除額は異なります。
自分に最適な控除を理解し、正しく申告することが大切です。
控除適用を受ける際は、要件をしっかり確認し、必要な手続きを忘れず行いましょう。
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