令和6年版:源泉徴収票の記載方法を徹底解説!年末調整後の注意点とは?
2024/11/05
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
令和6年4月に税制改正が行われ、今年6月以降に所得税の定額減税が実施されました。定額減税の実施に伴い、源泉徴収票や給与支払明細書、所得税徴収高計算書の記載方法が例年からいくつか更新されました。
特に年末調整後の源泉徴収票における定額減税額の記載方法についてのポイントが明確化され、外国人技能実習生の源泉徴収票の取り扱いや、特定の所得制限を超える方への対応なども追加されています。
この記事では、定額減税によるこれらの改正点をわかりやすく解説します。
1. 年末調整後の源泉徴収票の記載方法
年末調整が完了した後に発行する源泉徴収票には、定額減税額について次のような記載が求められます。
・「給与所得の源泉徴収票」の「(摘要)」欄に、控除した年調減税額を「源泉徴収時所得税減税控除済額×××円」と記載
・年調所得税額から控除しきれなかった金額は「控除外額×××円」と記入。控除しきれなかった金額がない場合は「控除外額0円」と記載
・配偶者の所得が1,000万円を超える場合(非控除対象配偶者)で、その配偶者分も年調減税額に含めた場合には、「非控除対象配偶者減税有」との記載を追加
・「給与所得の源泉徴収票」の「(摘要)」欄では、定額減税に関する情報を先に記載するなどして、全ての必要事項が確実に収まるように配慮することが必要
2. 所得制限を超える給与所得者の源泉徴収票の記載
令和6年の合計所得金額が1,805万円を超える方には定額減税が適用されないため、以下のように記載します。
・「給与所得の源泉徴収票」の「(摘要)」欄に「源泉徴収時所得税減税控除済額0円、控除外額0円」
この取り扱いは、給与以外の収入がある場合にも適用され、給与所得者として年末調整が行われている場合には記載が必要です。
3. 外国人技能実習生の源泉徴収票の記載方法
日本国内で扶養控除申告書を提出し、租税条約の届出書も提出している外国人技能実習生に対しても、源泉徴収票に定額減税額の記載が必要です。具体的には、次のように記載します。
・「給与所得の源泉徴収票」の「(摘要)」欄に「源泉徴収時所得税減税控除済額0円、控除外額30,000円」
この対応は、税制上の特例や租税条約に基づく非課税処理が行われている場合でも同様です。
4. 年末調整をしなかった給与所得者の源泉徴収票の記載
年末調整の対象外となった給与所得者(例えば年収が2,000万円を超える場合など)については、以下の取り扱いが適用されます。
・源泉徴収票の「(摘要)」欄には定額減税額の記載は不要
・「源泉徴収税額」欄には、月次減税を控除した後の実際に徴収した税額の合計を記載
年収が2,000万円を超えるなどの理由で年末調整の対象とならない給与所得者については、源泉徴収の段階で既に月次減税を適用している場合でも、最終的な精算は確定申告で行うこととなります。
5. 退職した給与所得者の源泉徴収票
年末調整を完了せずに退職した方についても特別な対応が必要です。
退職後に発行する源泉徴収票には、以下の点がポイントとなります。
・「給与所得の源泉徴収票」の「(摘要)」欄には定額減税額の記載は不要
・「源泉徴収税額」欄には、月次減税を適用した後の税額の合計を記載
なお、退職後に再就職した場合には、再就職先で年末調整や確定申告を通じて最終的な定額減税の精算が行われることになります。
6. 同一生計配偶者や扶養親族がいる給与所得者の源泉徴収票
合計所得金額が48万円以下の給与所得者に対しても特定の記載が求められます。
・「給与所得の源泉徴収票」の「(摘要)」欄には「源泉徴収時所得税減税控除済額0円」「控除外額30,000円」と記載
この取り扱いは、同一生計配偶者や扶養親族がいる給与所得者においても同様です。
年内に月次減税を受けているが、最終的に年間の源泉徴収税額が発生しなかった場合も同様の記載となります。
7. 給与支払明細書への記載方法
毎月の給与支払い時に発行される給与支払明細書には、次のように月次減税額を記載します。
・「定額減税額(所得税)×××円」や「定額減税×××円」といった表記で、明細書の適切な箇所に記載
8. 所得税徴収高計算書(納付書)の記載方法
月次減税額を控除した後に納付する所得税についても記載方法が明確化されています。
・納付書の「税額」欄には、実際に納付すべき金額(控除後の税額)を記載
納付書の記載方法自体には特段の変更はなく、月次減税額を差し引いた後の金額を納付するという流れです。
令和6年の税制改正を受けて、源泉徴収票や給与明細、納付書の記載方法が少しずつ複雑化していますが、今回のポイントを押さえることで正確な処理が可能になります。
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