事業性評価融資とは?企業の資金調達力UP方法を解説します。
2024/08/20
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
企業の成長を支えるために欠かせないのが資金調達です。
しかし、資金を調達するためには、単に良いアイデアや現在の財務状況があるだけでは十分ではありません。
金融機関が企業に融資を行う際に重視するのは、その企業が将来的にどのように成長し、収益を上げることができるのかという「将来性」です。
この将来性を見極めるための評価方法として、「事業性評価融資」が近年注目を集めています。
この記事では、事業性評価融資の概要と、それに関連する経営計画の重要性について詳しく解説します。
1.事業性評価融資とは
事業性評価融資とは、金融機関が企業の現在の財務データや担保・保証に頼らず、企業訪問や経営相談を通じて事業の内容や成長可能性を評価し、その結果を基に融資の可否を判断する方法です。
これは、平成27年7月に金融庁が発表した「円滑な資金供給の促進に向けて」の中でも強調されているアプローチです。
事業性評価は、通常の財務審査に加えて行われ、財務データとともに企業の将来性を包括的に判断するための重要な情報源となります。
しかし、この評価結果だけで融資の可否が決まるわけではなく、他の要素と組み合わせて総合的に判断されます。
2.経営計画の種類とその役割
企業が長期的な成長を目指すためには、明確な計画を持つことが不可欠です。
経営計画は、企業がその将来に向けて達成すべき目標や方針を明確にし、具体的な行動計画を示すものです。
ここでは、長期計画、中期計画、短期計画の定義とその違いについて説明します。
①長期経営計画
長期経営計画は、企業の10年以上先の将来像を描き、経営方針やビジョンを具体化するための計画です。
この計画では、企業が10年後にどのような姿でありたいのか、そのためにどのような戦略を採用するのかを明確にします。
長期計画は、企業の方向性を示す指針として機能し、全体の戦略的な枠組みを提供します。
②中期経営計画
中期経営計画は、通常5年間の期間を対象に、企業が進むべき方向性と具体的な目標を示す計画です。
この計画は、長期ビジョンを達成するために、現時点から何をすべきかを具体化するものです。
中期計画では、実現可能なアクションプランが設定され、企業の成長戦略が詳細に策定されます。
特に、事業性評価融資を受ける際には、この中期計画が非常に重要です。
金融機関はこの計画を基に、企業がどのように収益を上げ、成長を遂げるかを評価します。
③短期経営計画
短期経営計画は、1年を基準に策定される計画で、具体的な実行プランや数値目標が設定されます。
この計画は、年間の予算編成や実績評価、業績管理に使用され、企業の現状を把握するための重要なツールとなります。
短期計画は、中期計画の目標を達成するためのステップとして機能し、日々の業務の中で成果を追跡しやすくするために細かく設定されます。
3.中期経営計画の作成とその重要性
事業性評価融資において、特に重要なのが中期経営計画の作成です。
この計画書は、企業が今後5年間にわたってどのように成長し、収益を上げる計画を持っているかを示すもので、金融機関が企業の将来性を評価する際の基盤となります。
中期経営計画書には、以下の要素が含まれます。
経営理念:企業の存在意義や使命を明確にし、経営の土台を作ります。
経営ビジョン:企業が目指す将来像や、経営者としての姿勢を示します。
経営方針:基本方針に加え、商品戦略や販売戦略、組織体制に関する方針を定めます。
経営計画:具体的な利益・資金計画、予想貸借対照表、収益計画を含む、企業の未来を数値で表現します。
この中期経営計画書は、単に作成して終わりではなく、実行に移し、計画と実績のズレを認識して改善するサイクルを繰り返すことが重要です。
このプロセスが、企業の持続的な成長を支える基盤となります。
4.事業性評価融資における経営計画の活用
金融機関への融資申し込みにおいては、従来の決算書だけでなく、中期経営計画書の提出がますます重要視されるようになっています。
金融機関は、企業の短期的な業績だけでなく、長期的な成長ポテンシャルを重視しているためです。
中期経営計画書が現実的であり、かつ具体的な目標と実行可能なプランを持つものであれば、融資の審査において非常に有利に働きます。
5.まとめ
事業性評価融資は、企業の成長を支援する新しい資金調達手法として注目されています。
この融資の成功には、企業が長期・中期・短期の各経営計画をしっかりと策定し、それを実行する力が求められます。
中でも、中期経営計画書は、金融機関に対して企業の将来性をアピールするための重要なツールです。
資金調達力を強化し、企業の持続的な成長を実現するために、ぜひ経営計画の作成と実行に取り組んでみてください。
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