経営の健康診断:貸借対照表の重要性とそのチェックポイント
2024/07/22
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、開業支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
企業の経営状況を正確に把握するためには、損益計算書と貸借対照表の理解が不可欠です。
損益計算書は1年間の経営成績を示し、収益と費用の関係を明らかにします。
一方、貸借対照表は過去から現在に至るまでの経営の結果を示しており、企業の財産や債務、利益や損失の蓄積を反映しています。これにより、企業の経営体質が明らかになります。
貸借対照表の重要性は、将来の事業承継や金融機関からの借入、上場、M&A(企業の合併・買収)において特に顕著です。
これらの場面で貸借対照表が整っていることは、企業の信用力を高めるために不可欠です。
以下に、貸借対照表の磨き上げが必要な理由とそのチェックポイントについて詳しく説明します。
1.貸借対照表の磨き上げが必要な理由
①事業承継の場合
事業承継を円滑に進めるためには、貸借対照表の健全性が求められます。
借入金などの負債が多い場合、後継者候補が承継をためらう可能性があります。
そのため、負債を適切に管理し、健全な財務状態を維持することが重要です。
②M&Aの場合
企業を売却する際には、貸借対照表の状態が買い手企業に大きな影響を与えます。
不良債権や不良在庫が多い場合、買い手が現れない可能性が高まり、売却価格も低くなります。
逆に、健全な貸借対照表を持つ企業は、より高い評価を受けやすくなります。
③廃業する場合
企業を廃業する際には、借入金やリース債務を完済していることが前提となります。
これが達成されていない場合、廃業までに時間がかかるため、早期の債務整理が必要です。
④上場を目指す場合
上場を目指す企業にとっても、貸借対照表の整備は不可欠です。
早期に貸借対照表を整理することで、上場準備がスムーズに進み、上場後の企業価値向上につながります。
⑤金融機関等からの融資を受ける場合
金融機関から融資を受ける場合や投資家から資金を調達する場合に、必ず貸借対照表はチェックをされます。
貸借対照表が整理されていない場合は、融資を受けられなかったり、資金を調達が難しくなることがあります。
貸借対照表を整理し、強い財務状況を作り出すことで、有利に融資を受けたり、資金調達を行うことができます。
2.貸借対照表のチェックポイント
①不良債権のチェック
売掛金の中に長期滞留債権がないかを確認しましょう。
債権が滞留している場合は、分割払いや早期回収の提案を行います。
回収が見込めない場合は、債権放棄も検討します。
②不良在庫のチェック
動きの悪い在庫を把握することが重要です。
売れない商品や製品、使えない在庫は、キャッシュを生まず、保管料などの費用がかかります。
陳腐化による売れないリスクもあります。
③貸付金・仮払金等のチェック
貸付金や仮払金が長期間計上されている場合、会社の大切な資金が外部に流出し、必要な投資に回せていない可能性があります。
計画的に早期回収を目指しましょう。
④投資等のチェック
会社の本来の事業とは関連のない投資が含まれていないかを確認します。
これらの資産が帳簿価格以上で売却できる場合は問題ありませんが、売却損が発生していたり資産性がない場合は、早期に整理し必要な投資に資金を回しましょう。
⑤借入金のチェック
借入金の月次返済原資は、当期利益と減価償却費です。
1年間に返済する元本と比較する必要があります。
金融機関からの借入金は年商の5割以内が目安とされており、この水準を超える場合は、返済計画を金融機関と相談する必要があります。
⑥隠れ債務の検討
退職金の引当や潜在的な未払金、連帯保証についても確認が必要です。
従業員の退職金の確保や適正な労務管理に基づいた給与支給、取引先や個人の借入に対する債務保証の有無を再確認しましょう。
⑦自己資本
総資本に対する自己資本比率30%を目指しましょう。
毎期の利益の積み重ねが自己資本の充実につながります。
貸借対照表の整備は、企業の将来に向けた重要なステップです。
定期的なチェックと適切な管理を行い、健全な財務状態を維持することで、企業の成長と安定を支える基盤となります。
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