法人の雑収入とは?営業外収益の基本と計上のタイミングを解説
2024/07/09
渋谷区恵比寿でスタートアップ、開業、起業支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
会社の経営において、通常の事業活動とは関係のない収益が発生することがあります。
これを「営業外収益」と呼び、その中でも特に少額なものや偶発的な取引で得たものは「雑収入」として扱われます。
今回は、営業外収益および雑収入の基本的な考え方や計上のタイミング、税務上の注意点について解説します。
1. 営業外収益とは?
営業外収益とは、商品の売買やサービスの提供など、通常の業務とは関連しない取引で生じる収益を指します。
具体的な例として、以下のようなものがあります。
受取利息:預金や貸付金に対する利息収入
受取配当金:保有する株式から得られる配当金
投資不動産賃料:事業用ではない不動産からの賃貸収入
為替差損益:為替レートの変動による利益または損失
仕入割引:早期支払いによる仕入先からの割引
これらの収益は、会社の通常の業務活動以外の取引によって得られるため、営業外収益として計上されます。
2. 雑収入とは?
営業外収益の中でも、特に少額なものや一時的な取引で得た収益は雑収入として区分されます。具体的な例として、以下のようなものがあります。
遠隔地にある不動産等の賃貸収入:主要な事業とは無関係な不動産からの収入
保険会社からの契約者配当金・保険金:保険契約に基づく支払い
法人税・都道府県税等の還付加算金:税金の過払いに対する還付
使用しなくなった車両・機械装置等の売却代金:不要品の売却収入
会社に設置した自動販売機による収入:設置料や売上の一部
鉄くず・建設廃材等の売却代金:廃材の処分による収益
消費税の納付差益・精算差益:消費税の計算上の差益
代理店手数料・特約店手数料・報奨金:販売や紹介に対する手数料や報酬
これらの収入は、通常の営業活動に直接関係しないため、雑収入として区分されます。
3. 雑収入の計上タイミング
雑収入の計上のタイミングは、雑収入のタイプにより様々です。
ここでは間違いやすい雑収入について、計上のタイミングと注意点を解説します。
① 保険の配当金
保険の配当金が支払われたり積み立てられたりする場合、配当金通知書に基づいてその事業年度に雑収入として計上します。
② 助成金や給付金等
国や地方自治体から交付される助成金は、申請から支給決定、確定通知、支給の順に進みます。
支給決定日が通知書等に明記されている場合、その日付で収益計上します。
支給決定後に事業年度をまたぐ場合でも、支給決定のあった事業年度に収益計上となります。
③ ポイントの活用、還元
量販店等が発行する法人名義のポイントカードや法人名義のクレジットカードで物品を購入した場合、たまったポイントを利用して物品を購入することがあります。
このポイントで支払った分は、レシート記載に基づいて雑収入または値引きとして計上します。
④ 鉄くず・建設廃材等の売却収入
鉄くずや建設廃材等の売却収入は、たとえ少額であっても漏らさず雑収入に計上することが必要です。
税務調査において売却収入の計上漏れを指摘されると、意図的な除外と認められた場合、重加算税が課される可能性があります。
近年は金属価格が高騰しているため、特に注意が必要です。
⑤ クラウドファンディング
クラウドファンディングで得た収入は、一般的に雑収入として計上します。
出資者への返礼品がない寄付型で得た収益は、受け取る金額が確定したときに受贈益として計上します。
一方、返礼品として商品やサービスを提供する売買型では、入金時に前受金処理をし、商品の引き渡し時に売上計上します。
まとめ
法人の営業外収益や雑収入は、通常の営業活動とは異なる収益源です。
これらの収益を正確に計上し、適切に管理することは、企業の財務健全性を保つために重要です。
特に、税務調査においては、収益の計上漏れや誤った計上が問題となることがあるため、注意が必要です。
適切な処理を行い、透明性の高い経営を目指しましょう。
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税理士法人小原会計/小原崇史公認会計士事務所
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