書面添付制度とは?税務調査リスクを減らし金融機関からも信用されるメリット
2024/03/01
スタートアップや創業・開業支援を行っている渋谷区恵比寿の公認会計士・税理士、小原です。
今回は書面添付制度について解説いたします。
小原崇史公認会計士事務所では、書面添付の利用を積極的に推進しております。
書面添付についてご相談がありましたら、是非、小原崇史公認会計士事務所まで、ご相談ください。
1.書面添付制度とは
書面添付制度とは、税理士が作成した税務申告書に一定の書面を添付し、税務調査の事前通知前に意見を述べる機会が与えられる制度です。
この制度は、税理士法第33条の2および第35条に規定されており、税理士による所見表明として機能します。
具体的には、税理士が「この申告書類は適正です」という専門家の意見を税務署に提出することができる制度です。
2.書面添付のメリット
書面添付制度を利用することで、税務署は納税者に対して税務調査を通知する前に、添付書面に記載されている事項について税理士に意見を聞く必要があります。
これにより、税務調査の前に税理士からの意見聴取が行われるため、税務調査の確率が大幅に減少する可能性があります。
書面添付制度を利用している場合の税務調査の確率は書面添付を利用しない場合よりも低くなっています。
また、税務調査で申告漏れが見つかった場合、加算税や延滞税といったペナルティが課されますが、
書面添付制度を利用した場合、税務調査前の意見聴取で申告漏れが見つかった場合の修正申告は自主申告扱いとなり、加算税がかからなくなります。
また、書面添付が付されている決算書及び申告書は、税理士により経理の状況や内容に一定程度の質が担保されています。
従って、融資を受ける際に金融機関からも一定程度の信頼を得ることができ、書面添付がない場合よりも有利に融資を受けることができる可能性があります。
3.書面添付のデメリット
一方で、書面添付制度のデメリットとしては、税理士にとっての責任の重さや作業量の増加が挙げられます。
添付する書面に誤りがあった場合、税理士は最長で2年間の業務停止処分を受けるリスクがあります。
また、添付書面の作成には時間がかかり、作業量が増えるため、税理士の費用が増加する可能性があります。
このため、特に実務経験が少ない税理士は、書面添付制度の利用を避ける傾向にあります。
4.書面添付制度を利用すべき人、利用しなくても良い人
書面添付制度を利用すべき人は、税務調査のリスクを減らしたいと考えている人や、申告書の正確性に自信がない人です。
また、書面添付制度が適用されている確定申告書は、自社の経理状況や内容の質が税理士によって一定水準担保されているため、
金融機関などで融資を受ける際に有利となる可能性があります。
将来的に金融機関からの融資を考えている経営者や企業も書面添付制度を利用するべきでしょう。
一方で、税理士の費用を節約したい人や、自分で申告書を作成する自信がある人は、書面添付制度を利用しなくても良いかもしれません。
税理士に書面添付を依頼するためには、自社の経理状況や内容の質を一定水準以上にする必要があり、
その分工数及び費用が掛かる傾向にあります。
また、税理士は書面添付を付した申告書に対し、より大きな責任を負うことになり、チェックの作業量が増加し、そのリスクに対して税理士への報酬が高くなる傾向にあります。
5.まとめ
書面添付制度は税務調査のリスクを減らしたり、金融機関からの信用を上げるメリットがありますが、税理士の責任が重く、費用が増加するデメリットもあります。
したがって、制度の利用を検討する際には、これらのメリットとデメリットを十分に考慮することが重要です。自分の状況に合わせて、書面添付制度の利用を検討してみてください。
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