小原崇史公認会計士事務所

決算書の見方と企業収益性評価のポイント

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決算書の見方と企業収益性評価のポイント

決算書の見方と企業収益性評価のポイント

2024/07/25

渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。

企業の経営状態を把握するために不可欠なものが決算です。決算書とは、いわゆる貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CF)です。

これらは相互に関連しており、単独では企業の全体像を把握することは難しいです。

今回は、経営判断に欠かせない、企業の収益性を評価するためのポイントを解説します。

 

1.貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)の基本

 

①貸借対照表(BS)

貸借対照表は、企業の財務状況を一定時点で示すものです。

資産、負債、純資産がどのように構成されているかを把握できます。

企業の収益性を評価するためのポイントとして、特に注目すべきは、総資本です。

これは、企業がこれまで事業活動に投下してきた総額を示します。

 

②損益計算書(PL)

損益計算書は、一定期間内の企業の収益と費用を記録し、最終的な利益を示すものです。

これにより、企業がどのようにして利益を生み出しているかが分かります。

しかし、PLだけではその利益がどのようにして資金と結びついているかを理解することはできません。

 

2.投資と利益の関係

企業の経営において重要なのは、投下資本と利益の関係を正確に把握することです。

単に売上や利益を見ているだけでは不十分です。

投下した資金と、そのリターンである利益とのバランスを確認することで、企業や事業の収益性を判断することができます。

例えば、設備投資を行う場合、その投資がどの程度のキャッシュフローを生み出すのか、どのくらいの期間で回収できるのかを考慮する必要があります。

これにより、投資の採算性を評価し、最適な投資判断を下すことができます。

 

3.総資本と利益のバランス

企業にとって重要なのは、リターンである利益が投下資本と見合っているかどうかです。

総資本が大きい会社ほど、会社を維持するためには多額の利益が必要です。

これは、人員が多く人件費がかかる場合や、社屋や工場などの設備が多い場合に特に当てはまります。

総資本が大きいということは、それだけ運営コストも高いということです。

資本効率を考慮せずに、自社の利益に見合わない投資を行い、会社規模が大きくなると、その維持も大変です。

したがって、資本効率を意識して会社経営を行うことが重要です。

 

4.総資本利益率(ROA)とは

総資本利益率(Return on Assets、ROA)は、企業が持つ資産(総資本)を使ってどれだけの利益を生み出しているかを示す指標です。

ROAが高いほど、企業が効率的に資産を運用して利益を上げていることを意味します。

①計算方法

総資本利益率(ROA)の計算式は以下の通りです:

ROA=(当期純利益/総資産)×100

 

※当期純利益:損益計算書に記載されている最終的な利益

※総資産:貸借対照表に記載されている資産の合計

 

具体的な計算例を見てみましょう。

ある企業の当期純利益が500万円、総資産が2億円の場合、ROAは以下のように計算されます:

ROA=(500万円/2億円)×100=2.5%

この結果、ROAは2.5%となり、この企業は総資産の2.5%を利益として生み出していることがわかります。

 

②企業分析での使い方

ⅰ. 企業の収益性評価

ROAは企業の収益性を評価するための基本的な指標です。

ROAが高い企業は、資産を効果的に活用して利益を上げていることを示しています。

企業間の収益性を比較する際に有用です。

ⅱ. 業界平均との比較

企業のROAを業界平均と比較することで、その企業が業界内でどれだけ効率的に資産を運用しているかを評価できます。

業界平均よりも高いROAを持つ企業は、競争力が高いと考えられます。

ⅲ. トレンド分析

企業のROAを数年間にわたって追跡することで、企業の収益性が改善しているのか、または悪化しているのかを判断できます。

上昇トレンドにある企業は、経営効率が向上していると見なせます。

ⅳ. 他の指標との組み合わせ

ROAは他の財務指標(例えば、自己資本利益率(ROE)や売上高利益率)と組み合わせて使用することで、より深い分析が可能です。

これにより、企業の全体的な財務状況や収益性を総合的に評価することができます。

ⅴ. 投資判断

投資家はROAを参考にして投資判断を行います。

高いROAを持つ企業は、効率的に資産を運用しているため、投資先として魅力的とされます。

 

5.まとめ

決算書は企業の財務状況を把握するための基本的なツールですが、それを有効に活用するためには、各書類の相互関係を理解し、投下資本と利益のバランスを適切に評価することが重要です。

特に、総資本利益率(ROA)は企業の収益性を評価するための重要な指標であり、企業分析や投資判断において欠かせないものです。

企業の健全な経営を維持するために、これらのポイントを押さえておきましょう。

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