【中小企業の方必見】小規模企業共済制度のメリット・デメリットを解説 | 税理士小原

スタートアップ・開業支援が得意な渋谷区恵比寿の税理士小原です。

今回は、中小企業の経営者や個人事業主必須の小規模企業共済について解説します。

小原崇史公認会計士事務所では、事業を始めたばかりの方やこれから事業を始めようと考える方へのサポートを行っています。

法人設立のサポートも行っていますので是非、一度ご相談ください。

 

１．はじめに

 

中小企業の経営者や個人事業主の未来設計において、老後の資金準備は避けて通れない課題です。大企業勤務の退職金制度とは異なり、自分で準備をしなければならない中小企業経営者や個人事業主にとって、小規模企業共済制度は「経営者の退職金」として重要な役割を果たします。この記事では、小規模企業共済のメリットとデメリット、加入方法、対象者について深堀りして解説します。

 

２．小規模企業共済とは？

 

小規模企業共済制度は、中小企業の経営者や個人事業主が自らの退職金を準備するための制度です。この制度は、中小企業基盤整備機構が運営し、全国で約160万人が加入している人気の高い制度です。掛金に応じて将来給付を受け取ることができ、「経営者の退職金」とも言われています。

 

２．小規模企業共済のメリット

 

①退職金準備：

小規模共済に加入していれば、事業を廃業する際や、退職時に積み立てた金額を退職金として受け取ることが可能です。サラリーマンと異なり、退職金制度がない個人事業主や法人経営者は、これにより、老後の安心を確保できます。

 

​​​​​​②​節税効果：

掛金全額が所得控除の対象となり、節税に直結します。将来の退職金原資を積み立てつつ、年間の税負担を大きく軽減することができます。

 

③貸付制度：

小規模企業共済に加入していると、それまで支払った掛金の範囲内で事業資金の貸付けを受けることができます。即日貸出かつ、低金利での貸出が可能なため、経営の柔軟性が高まります。

 

３．小規模企業共済のデメリット詳細

 

①掛け捨てリスク：

小規模企業共済は、掛金納付月数が6カ月未満もしくは１２カ月未満※の場合、掛け捨てとなり、投資した金額が戻ってこないリスクがあります。

※共済金等の種類により期間が異なります。

 

②元本割れリスク：

加入後20年未満で任意解約した場合、受け取れる共済金が投じた元本を下回るリスクがあります。小規模企業共済のメリットを最大限享受するためには、長期のコミットメントが求められます。

 

 

４．小規模企業共済の加入方法と必要書類

 

①個人事業主の場合

確定申告書の控え：最近の確定申告書の控えが必要です。

開業届の控え：確定申告書がない場合は、開業届の控えが必要となります。

 

②法人の役員の場合

履歴事項全部証明書：履歴事項全部証明書（商業・法人登記簿謄本）が必要です。

※共同経営者の場合は、確定申告書の控及び共同経営契約書の写しが必要となります。

 

加入手続きは、これらの書類を準備した上で、中小企業基盤整備機構または指定された金融機関の窓口で行います。

 

５．小規模企業共済の対象者詳細

 

対象者は、業種に応じて従業員数が一定基準以下の個人事業主や会社等の役員です。

・従業員が20人以下の個人事業主または会社等の役員

（建設業、製造業、運輸業、宿泊業・娯楽業、不動産業、農業など）

 

・従業員が5人以下の個人事業主または会社等の役員

（商業、宿泊業・娯楽業を除くサービス業）

 

６．まとめ

 

小規模企業共済制度は、中小企業の経営者や個人事業主にとって有力な退職金準備の選択肢です。しかし、掛け捨てリスクや元本割れリスクを含むデメリットも理解し、自身の事業規模や将来計画を踏まえた上で検討することが重要です。適切な準備と計画により、小規模企業共済制度は経営者の老後を支える強固な柱となるでしょう。