経営者必読!中小企業のための節税方法解説|小原会計税理士法人
2024/06/17
渋谷区恵比寿でスタートアップ、創業・開業・起業支援を行っている税理士法人小原会計の小原です。今回は、誰でもできる節税方法について解説します。
1.はじめに
決算を迎えるにあたって、経営者や役員の方々は節税のための検討を行っていますか?事業を行うにあたり、避けられない税金の納付について、多くの経営者が頭を悩ませていることと思います。無理な節税は会社の利益を減らし、無駄なキャッシュアウトにつながります。今回は、無理なく、無駄なキャッシュアウトを伴わず、誰でもできる節税方法を解説いたします。
2.期首から考える節税対策:役員報酬と共済制度の活用
期首に取り組むべき節税対策の一つとして、事前確定届出給与があります。これは、役員の給与を決算日前に確定し、提出することで、その年度の所得から控除できる制度です。提出期限は株主総会の日から1ヵ月以内であり、さらに株主総会後の取締役会での決議も必要です。以前から、中長期的な計画を作成することで、年度の頭に適切な役員報酬を算定することができます。この対策により、企業は適切な金額の役員報酬を経費として計上することが可能になります。
また、役員個人の退職金の積み立てを目的とした小規模共済掛け金も有効な節税手段です。これは、支払った金額が全額所得控除となる共済制度です。特に役員が将来の退職後の生活を考える際に、この制度を利用することで、現在の所得税負担を軽減しつつ、将来の資金準備を行うことができます。
3.残り3ヵ月の節税対策:資産購入と共済制度の活用
決算まで残り3ヵ月を切ったタイミングでは、少額減価償却資産の購入が有効です。資本金1億円以下の法人や常時使用する従業員の数が1,000人以下の青色申告書を提出している個人事業主は、年間300万円まで、30万円未満の資産を購入することで、その年度の経費として計上することができます。また、全ての法人や個人事業主は、20万円未満の資産を購入することで、一括償却資産として3年間で均等に償却することが可能です。これにより、必要な資産を取得しつつ、その年の課税所得を減少させることができます。
さらに、倒産防止共済も検討すべきです。この共済制度は、倒産や事業停止のリスクに備えるもので、上限800万円まで支払うことができ、支払金額は損金算入できます。これにより、企業はリスクに備えながら、節税効果も得られます。
4.残り2ヵ月の節税対策:仮払金の精算と賃上げ促進税制
決算まで残り2ヵ月の段階では、仮払金等の精算を忘れずに行うことが重要です。決算日までに精算しなければならない金銭(仮払金や立替金など)は、決算日までに精算しないと経費として認められません。これにより、経費計上漏れを防ぎ、正確な経費計上を行うことができます。
また、賃上げ促進税制も注目すべきです。この制度は、賃金を引き上げることで法人税の減税や特別控除が受けられるものです。条件によって税制の内容が異なるため、賃上げの可能性がある場合は、詳細を確認して積極的に検討することをお勧めします。
5.直前の節税対策:支払利息の確認と短期前払費用の特例
決算直前には、支払利息の確認を行うことが必要です。役員借入金や社債などの利息は、その年度の経費として計上できます。計上漏れがないか、細心の注意を払って確認しましょう。
最後に、短期前払費用の特例も有効です。支払日から1年以内に提供を受ける役務に係る費用は、支払った日の事業年度の損金に算入できます。この特例を活用することで、支払済みの費用を当年度の経費として計上し、節税効果を最大限に引き出すことができます。
6.終わりに
以上のように、企業の決算期に向けて適切な節税対策を講じることで、課税所得を減少させ、税負担を軽減することができます。事前確定届出給与や小規模共済掛け金、少額減価償却資産や倒産防止共済、仮払金の精算や賃上げ促進税制、支払利息の確認や短期前払費用の特例など、多岐にわたる対策を組み合わせることで、より効果的な節税を実現しましょう。
税金の支払いは決して無駄ではないことに注意が必要です。経営者の中には、税金の支払いを過度に嫌い、極端な節税対策を行ってしまう方もいますが、極端な節税対策は無駄なキャッシュアウトを伴うことが多く、会社に資金を残すことができません。
適切に税金を支払い、適切に資金をためて企業や事業の発展のための資金源としましょう。税金の支払いも企業や事業の健全な発展のための必要経費と考えることが重要です。
企業の財務戦略の一環として、これらの無理のない節税対策を積極的に活用し、健全な経営を行っていきましょう。
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税理士法人小原会計/小原崇史公認会計士事務所
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