スタートアップ創出促進保証制度について解説します。
2024/05/09
渋谷区恵比寿でスタートアップ、開業・創業支援を行っている税理士法人小原会計の小原です。
今回は、2023年3月15日から開始された「スタートアップ創出促進保証制度」について解説します。
1.スタートアップ創出促進保証制度とは
スタートアップ創出促進保証制度とは、スタートアップ等が創業時に金融機関等から融資を受ける際、経営者個人の保証(経営者保証)を不要とすることができる制度です。
経営者保証とは、金融機関からの融資の際に、経営者個人が会社の連帯保証人になることです。
経営者保証が付いている融資では、会社が返済できなくなった場合に、経営者個人が会社に代わって返済を負担する必要があります。
創業当初で売上が確保できておらず、十分な資金がないスタートアップでは、返済原資の確保が難しく、経営者個人にとって大きなリスクとなります。
スタートアップ創出促進保証制度では、スタートアップ等が金融機関から融資を受ける際、創業関連保証の保証料率に0.2%上乗せすることで、経営者保証なしに融資を受けることができます。
2.制度概要
スタートアップ創出促進保証制度の概要は以下の通りです。
①保証対象者
・創業予定者(これから法人を設立し、事業を開始する具体的な計画がある者)
・分社化予定者(中小企業にあたる会社で事業を継続しつつ、新たに会社を設立する具体的な計画がある者)
・創業後5年未満の法人
・分社化後5年未満の法人
・創業後5年未満の法人成り企業
②対象資金
・運転資金
・設備資金
③保証限度額
・3,500万円
④保証期間
・10年以内
⑤据置期間
・1年以内(一定の条件を満たす場合には3年以内)
⑥金利
・金融機関所定
⑦担保・保証人
・不要
⑧保証割合
・100%保証
⑨保証料率
・創業関連保証の保証料率に0.2%上乗せ
⑩その他
・創業計画書(スタートアップ創出促進保証制度用)の提出が必要です。
・保証申込受付時点において税務申告1期未終了の創業者にあっては創業資金総額の1/10以上の自己資金を有していることが必要です。
・本制度による信用保証付融資を受けた場合、原則として会社を設立して3年目および5年目のタイミングで中小企業活性化協議会による「ガバナンス体制の整備に関するチェックシート」に基づいた確認および助言を受け ることをが必要です。
⑧取扱期間
・2023年3月15日より保証取り扱いを開始
3.融資・保証の申込・手続き
スタートアップ創出促進保証制度を利用して融資及び保証を受ける際の申し込み手続きは以下の通りです。
①融資申込
・創業計画書の作成
【創業計画書の内容】
・事業概要
・創業準備着手状況
・必要な資金及び調達の方法
・収支計画、取引先・借入金状況等
②金融機関による、与信審査・書類準備
③金融機関からの信用保証協会への保証申込
④信用保証協会の保証審査・承諾
⑤金融機関からの融資実行
4.「ガバナンス体制の整備に関するチェック」(ガバナンスチェック)
本制度により融資を受けた後、会社を設立して3年目及び5年目のタイミングで中小企業活性化協議会による「ガバナンス体制の整備に関するチェックシート」に基づく確認および助言を受けることが必要です。
これは、企業が創業期から次のステージに移行するにつれガバナンス向上の取り組みが期待される中、創業期の中間期・終期のタイミングにおいて、中小企業活性化協議会の統括責任者などによる助言や、必要に応じて磨き上げ支援を受けることで、創業者の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に繋げていくことを目的としています.
※融資実行後ガバナンスチェックの流れ
①金融機関からのチェック時期到来の連絡と相談の促し
②チェックシートの準備
③中小企業活性化協議会へのガバナンスチェックの申込・相談
(決算申告書の他、必要書類の提出)
④信用保証協会によるヒアリング・提出書類の確認
(必要に応じて信用保証協会による専門家派遣等の経営支援の実施)
⑤中小企業活性化協議会によるガバナンスチェックの結果の提供及び助言
(希望によっては協議会の収益改善支援などを受けることが可能)
⑥金融機関へチェック結果の写しを提出
⑦金融機関から保証協会へチェック結果の写しに意見を付して提出
5.スタートアップ創出促進保証制度のメリット
・創業当初の資金調達のリスクが低減される。
通常、創業当初は会社に十分な売上もなく、資金もない状況です。
そのような状況の中で、多くのスタートアップ等は、金融機関からの融資の際に、経営者保証を付けて借入を行っています。
企業に十分な返済能力がない中で、経営者個人の連帯保証となっており、経営者個人にとって大きなリスクとなります。
当該制度を利用することで、経営者保証を外して融資を受けられるため、経営者個人にとってのリスクは大きく低減されます。
・対象範囲が広い
スタートアップ創出促進保証制度は、創業予定者から創業5年未満の法人まで対象としており、対象者の範囲が広くなっています。
他の創業融資制度や補助金などより、対象範囲が広いことが当該制度の特徴となっています。
6.まとめ
スタートアップ創出保証制度は、金融機関からの融資の際に、経営者保証を外して、代わりに信用保証協会の保証を付けることができる制度です。
当該制度を利用することで、経営者個人のリスクが大きく低減されます。
2023年3月15日に始まった新しい制度となっており、まだ多くの方が利用していない制度です。
これから創業をする方や、すでに創業しているが5年未満のスタートアップ等は、当該制度を利用して、有利に融資を受けてみてはいかがでしょうか。
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税理士法人小原会計/小原崇史公認会計士事務所
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