法人税が増える?令和8年度から始まる「防衛特別法人税」のポイント
2025/04/30
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
今回は、令和7年度税制改正大綱に明記された「防衛特別法人税(仮称)」について解説いたします。中小企業の経営者の皆さまや、これから起業を検討している方にとっても無視できない内容ですので、ぜひご一読ください。
1.「防衛特別法人税」(仮称)とは?
「防衛特別法人税(仮称)」は、日本の防衛力強化に必要な財源を確保するために創設される新しい税制措置です。
もともとは「令和5年度税制改正の大綱」で構想が示されていましたが、「令和7年度税制改正の大綱」でその具体的な制度設計が明記されました。
・適用時期と税率
適用時期:令和8年(2026年)4月1日以後に開始する事業年度から適用
税率:課税標準法人税額に対して 4%
ここで注意すべきなのは、「課税標準法人税額」とは、所得控除や外国税額控除などの各種制度を適用する前の法人税額(基準法人税額)から、基礎控除額500万円を差し引いた金額であるという点です。
2.中小企業には優しい?「基礎控除500万円」の意味
この制度では、法人税の基準額が500万円以下の法人には新たな税金がかからないよう設計されています。
これは、負担の大きい中小企業を保護する観点から設定された措置です。
たとえば、年間の法人税額が1,664,000円の企業があったとしても、その金額が基礎控除の500万円に収まる場合、「防衛特別法人税(仮称)」は発生しません。
《具体例1:課税されないケース》
課税所得:1,000万円の中小企業
法人税額の計算:
800万円 × 15% = 1,200,000円
200万円 × 23.2% = 464,000円
合計:1,664,000円(基準法人税額)
この金額は基礎控除(500万円)に満たないため、課税標準法人税額がゼロ → 「防衛特別法人税(仮称)」は発生しません。
3.課税対象となる課税所得のラインは?
目安として、課税所得が約2,450万円を超える企業が課税対象となると考えられます(※目安であり、個別の状況により異なります)。
《具体例2:課税されるケース》
課税所得:2,500万円の中小企業
法人税額の計算:
800万円 × 15% = 1,200,000円
1,700万円 × 23.2% = 3,944,000円
合計:5,144,000円(基準法人税額)
課税標準法人税額:5,144,000円 − 5,000,000円 = 144,000円
防衛特別法人税:144,000円 × 4% = 5,760円
このように、法人税額が基礎控除額を超える企業には、金額としては少額ながら新たな税負担が発生することになります。
4.今後の税制動向にも注目を
防衛財源の確保に向けては、他にも次のような措置が予定されています。
①たばこ税の増税
加熱式たばこの課税強化:紙巻きたばこと同水準へ(令和8年4月と10月に段階実施)
たばこ税全体の引き上げ:令和9年~令和11年にかけて、1本あたり0.5円ずつ段階的に引き上げ
②防衛特別所得税(仮称)
所得税に対して1%の付加税を新設する一方で、復興特別所得税を1%引き下げ、課税期間を延長するという方針が示されています(導入時期は未定)。
5.中小企業経営者が今すべきこと
令和8年度から始まる新たな税制に備え、経営者の皆さまは次のような準備をしておくと安心です。
自社の法人税額を把握すること
2年後の税負担増に向けたキャッシュフローの見直し
税理士との定期的な相談で制度変更に対応する
特に、渋谷・恵比寿エリアのスタートアップ企業や中小法人の皆さまにとって、少しの準備が将来の安定した経営につながります。
まとめ
「防衛特別法人税(仮称)」は、当面中小企業には大きな影響は出ないと考えられますが、将来的には所得拡大や経営成長とともに課税対象となる可能性もあります。適切な税務対応のためにも、日頃から会計処理を丁寧に行い、税理士と相談しながら準備を進めておきましょう。
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税理士法人小原会計/小原崇史公認会計士事務所
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