売上アップよりも大切?限界利益を増やして経営を安定させる方法
2025/02/06
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
近年、資源価格の高騰や円安の影響で、原材料や燃料費が上昇し、企業の仕入れコストや外注費が増加する傾向にあります。売上が変わらなくても、こうしたコストの上昇により利益が圧迫されるケースが増えています。
「昨年より利益が出なくなった気がする」
「売上は維持できているのに、手元に残るお金が少なくなった」
こう感じることはありませんか?もしそうなら、自社の限界利益を見直してみましょう。
1.限界利益とは?
限界利益は、売上高から変動費(仕入れや外注費など、売上に比例して増減する費用)を引いた金額です。
この限界利益が、固定費(家賃や人件費など、売上の増減に関係なく発生する費用)を賄うための原資となります。
近年のコスト上昇を受け、限界利益率(売上高に占める限界利益の割合)が低下している企業も多く、対策を取らなければ利益を確保できなくなる可能性があります。
では、限界利益を改善するにはどうすればよいのでしょうか?
2.限界利益をアップさせる3つの方法
限界利益を改善する方法として、次の3つのアプローチが考えられます。
・販売価格を上げる
・変動費を下げる
・商品の組み合わせを最適化する
①販売価格を上げる
原材料費や光熱費の高騰が続く中、販売価格の見直しは重要な経営判断です。
しかし、単に値上げするだけでは顧客の理解を得るのが難しく、顧客が受け入れることができる根拠が必要となります。
・原価計算をしっかり行い、価格改定の必要性を明確にする
・原材料の値上げ幅や物流コストの上昇をデータとして示す
・値上げに伴う付加価値(サービス向上や品質改善など)を説明する
特に、競争が激しい市場では「価格を上げる=売上減少」のリスクがあるため、価格交渉の際には慎重な戦略が求められます。
②変動費を下げる
売上が増えても変動費が増えすぎると、利益は思ったほど残りません。
ロスを減らし、効率を上げることが利益改善のポイントです。
見直すべきポイント
・仕入単価は適正か?
→まとめ買いによる単価削減を狙っても、余剰在庫が発生していないか確認
→必要以上に在庫を抱えて廃棄が発生していないかチェック
・製造ロス(歩留まり)は改善できないか?
→製造工程の無駄を削減し、歩留まり率を改善することで無駄なコストを減らせる
・物流コストの見直し
→配送ルートや梱包方法を最適化し、無駄なコストを削減
・外注と内製のバランスを再評価
→自社でできる作業を外注していないか?逆に、自社で対応するより外注したほうがコスト削減できる業務はないか?
・新規仕入れ先の開拓
→定期的に仕入先の価格を比較し、よりコストパフォーマンスの良い選択肢を探る
③商品の組み合わせを最適化する
限界利益率の高い商品と低い商品が混在している場合、販売戦略を見直すことで全体の利益率を向上させることが可能です。
例えば、
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利益率の高い商品の販売を強化(プロモーションや広告を集中投下)
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利益率の低い商品の取り扱いを縮小(販売終了や価格改定の検討)
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セット販売やクロスセルを活用し、高利益商品と低利益商品を組み合わせて販売
売れ筋商品が必ずしも利益を生んでいるとは限りません。売上構成を見直し、限界利益率の高い商品の販売比率を高めることで、効率的に利益を確保できます。
3.限界利益を改善すると経営が安定する
限界利益が増えると、固定費を十分にカバーできるようになり、経営の安定につながります。その結果、次のようなメリットが生まれます。
・設備投資が可能になり、さらなる効率化が進む
・従業員の給与や賞与を増やせるため、モチベーションアップにつながる
・販売促進や新商品の開発に投資できるようになる
そのためには、単に売上を追うのではなく、「いくら売れたか」よりも「どれだけ利益が残るか」に注目することが大切です。
4.まとめ:自社の限界利益を見直し、最適な打ち手を選ぼう
限界利益の改善には、価格戦略・コスト削減・販売戦略の見直しが欠かせません。
限界利益アップのポイント
・販売価格の見直し
→価格改定の根拠を明確にし、取引先と交渉
・変動費の削減
→仕入れや製造ロスを減らす
→外注と内製のバランスを再評価
→物流コストや包装コストの見直し
・販売戦略の最適化
→利益率の高い商品の販売促進
→採算の悪い商品の見直し
自社の状況を分析し、最適な施策を実行することで、利益を確保し、持続的な成長につなげましょう。
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