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個人の国際税務入門:居住者と非居住者の違いを徹底解説

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個人の国際税務入門:居住者と非居住者の違いを徹底解説

個人の国際税務入門:居住者と非居住者の違いを徹底解説

2024/10/23

渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。

今回は、個人の国際税務における重要なポイントである「居住形態と課税所得の範囲」について詳しく解説します。

特に、居住者と非居住者、そして非永住者の区分がどのように税務に影響を与えるかについて見ていきます。

 

1. 納税義務者の区分とは?

まず、所得税法では、個人の納税義務者を「居住者」「非居住者」、さらに居住者を「非永住者」と「非永住者以外の居住者(便宜上、永住者と呼びます)」の三つの区分に分類しています。

この区分により、課税される所得の範囲や課税方法が異なります。

 

居住者:国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上国内に居所を持つ個人。

非永住者:居住者のうち、日本国籍を持たず、かつ過去10年間のうち国内に住所や居所を有していた期間が合計5年以下の個人。

非居住者:居住者以外の個人。

 

2. 住所と居所の定義

税務において重要な「住所」と「居所」という概念。所得税法にはこれらの明確な定義はありませんが、民法の規定に基づいて判断されます。

住所:生活の本拠地であり、実際にその場所を拠点としているかどうかは、客観的な事実で判定されます。具体的には、滞在日数や職業、資産の所在などが判断基準となります。

居所:住所ほど強く結びついていないが、ある程度の期間継続して居住する場所を指します。例えば、仕事で数ヶ月日本に滞在する場合、そのホテルの一室は居所とみなされます。

 

3. 住所の推定

所得税法施行令では、住所の有無を推定する際の具体的な基準が定められています。

 

国内に住所を有すると推定される場合:国内で1年以上継続して居住する職業を有する場合。日本国籍を持ち、国内に家族や資産を有し、1年以上の継続的な居住が推測される場合。

国内に住所を有しないと推定される場合国外で1年以上継続して居住する職業を持つ場合。外国籍を持ち、国内に家族や資産がなく、再び日本に戻ることが推測されない場合。

 

これらの基準に基づき、例えば日本に数年滞在する外国人派遣社員やその家族も、一定の条件下では国内に住所を有するものと推定され、居住者として扱われます。

 

4. 居住形態の特例

公務員やアメリカ合衆国軍隊の構成員など、特定の職業に就いている場合には、居住形態の判定に特例が設けられています。

公務員:国内に住所を有しない期間であっても、引き続き国内に住所を有するものとみなされる特例が適用されます。

船舶・航空機の乗組員:住所の判定は、勤務外の滞在地や家族の居住地に基づいて行われます。

学術や技芸の習得のための滞在:国内外で学習する場合、その期間に基づいて住所が推定されます。

アメリカ合衆国の軍隊の構成員や軍属:日米地位協定に基づき、これらの人々は日本国内に住所や居所を有しないとみなされます。

 

5. 双方居住者の問題

日本と他国で双方の居住者として認定される場合、租税条約に基づき、どちらの国の居住者とするかを判定します。

例えば日米租税条約では、以下の基準に基づいて判断されます。

・恒久的住居の所在

・利害関係の中心

・常用の住居

・国籍

もしもこれらの基準で明確な判断ができない場合、最終的には政府間の協議により居住地が決定されます。

 

6. 期間計算の方法

居住者か非居住者かを判断するための期間計算は、所得税法に基づいて厳密に行われます。

居住期間の起算日:入国の翌日から計算が始まります。

過去10年以内の計算:判定日から10年前の日付を基準とし、判定する日の前日までの居住期間を合算します。例えば、令和5年7月20日に判定する場合、過去10年は平成25年7月20日から令和5年7月19日までの期間となります。

また、非永住者の期間を計算する際も、1ヶ月に満たない期間は日数で計算し、複数回の入出国がある場合には、それぞれの年数、月数、日数を合算します。例えば、米国人Aが令和5年5月8日に日本に滞在中の場合、過去の入出国記録をもとに計算し、Aは非永住者として扱われることになります。

 

7.まとめ

個人の国際税務においては、居住形態の判定が極めて重要です。居住者、非居住者、非永住者といった区分により、税務上の取り扱いや課税される範囲が大きく変わります。

また、住所や居所の概念、特定の職業に就いている場合の特例など、個別の状況に応じた取り扱いも考慮しなければなりません。

このような国際税務の複雑なポイントについては、税務の専門家に相談し、正確な判断を下すことが重要です。

特に、国際的な移動が多い方や海外での所得がある方は、適切な税務対策を講じることで、不要なリスクを避けることができます。

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