小原崇史公認会計士事務所

30万円未満の減価償却資産をフル活用する方法—少額減価償却資産の特例とは?

お問い合わせ コーポレートサイト

30万円未満の減価償却資産をフル活用する方法—少額減価償却資産の特例とは?

30万円未満の減価償却資産をフル活用する方法—少額減価償却資産の特例とは?

2024/10/10

渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。

中小企業が青色申告をする大きな利点として、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」(以下、少額減価償却資産の特例)があります。

少額減価償却資産の特例は、多くの企業にとって有利な税務上のメリットを享受できる制度です。

この記事では、「少額減価償却資産の特例」について、対象となる企業や資産の要件、具体的な手続き方法、適用上の注意点を分かりやすく解説します。

 

1.少額減価償却資産の特例とは?

少額減価償却資産の特例は、青色申告法人である中小企業者や農業協同組合等が取得した30万円未満の減価償却資産に対して、その取得価額全額を取得した事業年度の損金として算入できる制度です。

通常、減価償却資産は取得した年度から一定の年数をかけて償却を行いますが、この特例を活用することで、特定の少額資産については、取得した年度に全額を経費として計上できるため、税務上の負担を軽減する効果があります。

この制度は、2006年(平成18年)4月1日から始まり、2024年(令和6年)3月31日までの期間に取得された資産が対象となります。

特例の活用には、いくつかの要件を満たす必要があるため、対象となる企業や資産について詳しく見ていきましょう。

 

2.適用対象となる企業(中小企業者等)

少額減価償却資産の特例が適用されるのは、以下の要件を満たす中小企業者や農業協同組合等です。

・常時使用する従業員の数が500人以下の青色申告法人

但し、青色申告法人であっても、通算制度を適用している法人はこの特例を利用できません。

また、中小企業者であるかの判定は、原則として資産を取得した日と事業の用に供した日の時点の従業員数に基づきます。

なお、事業年度終了時点で従業員数が500人以下であれば、その年度中に取得した少額減価償却資産についても特例を受けることができます。

 

3.適用対象となる資産

当該特例の対象となるのは、取得価額が30万円未満の減価償却資産です。

具体的には、以下のような資産が対象となります。

・機械装置、器具備品、建物附属設備などの有形固定資産

・ソフトウェア、特許権、商標権等の無形固定資産

さらに、リース取引で賃借人が取得したとみなされる資産や、中古資産も適用対象となります。

ただし、取得価額が10万円未満のものや、一括償却資産として処理される資産については、この特例の対象外です。

 

4.適用対象外の資産

令和4年4月1日以降に取得された少額減価償却資産であっても、以下の用途に供される資産については対象外となりますので注意が必要です。

・貸付業務(主要な事業として行われるものは除く)に供される資産

このため、貸付目的の資産や、事業として使用されていないものは特例の適用を受けられません。

 

5.適用手続き

この特例を適用するためには、いくつかの手続きを経る必要があります。

・損金経理
取得価額に相当する金額を、事業の用に供した事業年度において損金計上すること。

・確定申告時に明細書を添付すること
確定申告書等に、少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付し、申告することが必須です。

これらの手続きを行わないと、特例の適用を受けることができないため、確定申告の際は注意して処理を行いましょう。

 

6.適用上の注意点

この特例を利用する際には、以下の点にも留意する必要があります。

・他の特例との重複適用はできない
少額減価償却資産の特例は、他の租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳制度と重複して適用することができません。

・年間取得価額の上限が300万円まで
取得価額の合計が300万円を超える場合には、その超えた分は通常の減価償却資産として取り扱います。

事業年度が1年に満たない場合は、300万円を12で除し、その月数分を上限とします。

 

7.おわりに

少額減価償却資産の特例は、中小企業にとって非常に有利な制度ですが、適用にはさまざまな要件や手続きがあります。

適用要件を満たすかどうか、事前に確認を行い、正確に手続きを進めることが重要です。

また、税制改正などによる変更も随時確認することをお勧めします。

もし、少額減価償却資産の取り扱いや適用に関してご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。

----------------------------------------------------------------------
税理士法人小原会計/小原崇史公認会計士事務所
住所 : 東京都渋谷区恵比寿南1-20-6 第21荒井ビル4F
電話番号 :03-6890-2570 


渋谷で信頼できる決算サポート

渋谷で安心できる顧問サービス

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。