渋谷区恵比寿にある税理士法人 小原会計が解説|インボイス制度のポイント
2024/04/22
渋谷区恵比寿でスタートアップ、創業・開業支援を行っている税理士法人小原会計の小原です。
インボイス制度の導入により、消費税の正確な適用と管理が強調されていますが、実際の運用では多くの事業者が戸惑うことがあります。
今回は、特に誤解が生じやすいポイントについて解説します。
1. はじめに
インボイス制度は、消費税の適正な流通と管理を確保し、課税仕入れにおける消費税額の控除を可能にするために導入されました。
この制度では、商品やサービスの提供者(売手)が、提供した商品やサービスに関するインボイスを発行し、購入者(買手)に渡すことが義務付けられています。
購入者はこのインボイスを保存し、仕入れに対する消費税額の控除を受けるための重要な資料として利用します。
インボイスは、取引に関する重要情報を記載した公式文書です。
必要な基本情報には、以下の項目が含まれます。
・事業者の氏名や名称:正式な事業名または適当な屋号を用いることができます。
・取引年月日:商品やサービスが提供された具体的な日付。
・取引内容:提供された商品やサービスの詳細。軽減税率が適用される場合はその旨も明記。
・対価の額:取引における金銭的な価値。
・税率と消費税額:適用される消費税の税率とその計算結果。
2. 特例の適用と管理
①自動販売機の取引
3万円未満の自動販売機や自動サービス機を使用した課税仕入れについて、インボイスがなくとも、帳簿のみの保存で仕入税額控除が可能です。
通常、帳簿のみの保存の特例では、以下事項を帳簿に記載する必要がありますが、自動販売機等の取引では、住所や氏名の記載が不要とされています。
これは、小規模な取引における記録負担を軽減するための措置です。
【帳簿のみ保存の特例の帳簿記載事項】
・課税仕入れの相手方の氏名又は名称
・取引内容(軽減税率の場合、その旨)
・課税仕入れの相手方の住所又は所在地(自動販売機等の取引や証票が回収される取引では記載が不要)
・取引年月日
・対価の額
・特例の対象となる旨
②出張旅費の特例
従業員への出張旅費や宿泊費が「通常必要と認められる部分」に限り、帳簿のみでの保存が許可されています。
実費精算の場合もこの特例が適用されるため、精算時には帳簿に必要事項を記録することが重要です。
例えば、社内規定で、1回あたり3,000円とあり、所得税非課税の範囲が10,000円と認められ、
8,000円支給した場合は、8,000円が特例の対象となります。
また、何ら規定もないが、社員が出張旅費として10,000円を実費請求し、その金額が通常認められる場合、10,000円が特例の対象となります。
一方で、社員ではなく会社が直接チケット等を購入した場合や、従業員が法人カードを使用してチケット等を購入した場合は、特例の対象外となります。
※この場合でも3万円未満の公共交通機関などで他の特例の対象であれば、帳簿のみの保存で仕入税額か可能です。
3. 実際の取引における注意点
①インボイスと屋号の一致問題
公式なインボイスには、事業者を特定できる情報(例えば、電話番号や住所)が含まれているため、レシート等のインボイスに記載されている屋号や略称が公表サイトの記載と異なっていても、登録番号が一致していれば有効です。
②ETC利用の取り扱い
ETCを通じての高速道路利用に関して、原則クレジットカードの利用明細では仕入税額控除ができず、全ての取引についてETC利用紹介サービスから利用証明書をダウンロードし保存することが必要となります。
しかし、頻繁に高速道路を利用する場合は、高速道路会社ごとのに任意の一取引の利用証明書をダウンロードし、クレジットカードの利用明細と組み合わせて保存することがで仕入税額控除を行うことができます。
③簡易インボイスの取り扱い
宛名の記載が不要な簡易インボイスの場合であっても、原則、従業員名が記載されている場合は会社は仕入税額控除を行うことができません。
一方で、従業員名が記載された簡易インボイスであっても、従業員名簿と合わせて保存がすることで、会社で仕入税額控除を行うことが可能となります。
4. 終わりに
インボイス制度では、仕入税額控除を行う事業者は、インボイスの適切な管理を徹底することが求められます。
実務を行っていく際は、様々な場面やケースがあり、また原則的な取り扱いや様々な特例もあるため、判断に迷うことが多々あります。
判断に迷った場合は、近くの税理士に是非相談してください。
インボイス制度について、十分に理解し、適切な消費税計算を行いましょう。
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税理士法人小原会計/小原崇史公認会計士事務所
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