小原崇史公認会計士事務所

改正電子帳簿保存法について解説します。

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改正電子帳簿保存法について解説します。

改正電子帳簿保存法について解説します。

2023/12/28

小原公認会計士事務所の小原です。

 

今回は、2024年1月1日から始まる電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存について、すでに対応している方も多いかと思いますが、最新の改正も踏まえて解説します。

 

例えばAmazonや楽天等のECサイトで買い物をしたことがあると思います。今まではECサイトで購入したレシートを紙で印刷して保存していたと思いますが、2024年1月1日からはそれができなくなるケースがあります。

 

初めに電子帳簿保存法は、大別すると下記4つの制度で構成されています。

このうち、①~③については任意で選択できる制度であり、④については2024年1月1日よりすべての事業者に影響がございます。

  • 国税関係帳簿の電磁的記録による保存制度(電帳法4①、8④)

  • 国税関係書類の電磁的記録による保存制度(電帳法4②)

  • スキャナ保存制度(電帳法4③)

  • 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度(電帳法7)

今回は、義務化となる④電子取引の取引情報に係る電磁記録の保存制度について、電子取引データの保存制度の保存要件、システム導入をしなくてもできる検索機能の確保の方法、令和6年以後に行う電子取引データ保存から認められる検索要件不要の要件、保存要件が不要となる猶予処置について解説をいたします。

 

・電子取引のデータ保存制度の内容

電子取引のデータ保存制度とは、所得税及び法人税の保存義務者が取引情報(注文書や領収書等に通常記載される事項)を電磁的方式により授受する取引(電子取引)を行った場合には、その取引情報を電磁的記録により保存しなければならないという制度です(法7)。所得税法及び法人税法では、注文書、領収書等や取引先に交付したこれらの書類の写しの保存義務が定められていますが、同様の取引情報をメール等の電子取引により授受した場合には、その取引情報に係る電磁的記録を一定の方法により保存しなければならないこととされています。

電子取引とは、EDI取引、インターネット等による取引、電子メールによる取引情報を授受する取引(添付ファイル含む)、インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引等を言います。

 

・電子取引データ保存制度の保存要件

電子取引データの保存要件は、以下となります。

①可視性の原則

システムの開発関係書類等の備付け(他社が開発したプログラムを使用する場合は不要)

見読可能装置の備付(モニター・操作説明書等の備付け)

検索機能の確保

②真実性の原則

発行者のタイムスタンプが付与された電子取引データの保存

データ受領後又は業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに行うタイムスタンプの付与

クラウドシステム等における電子データの授受・保存改ざん防止等のための事務処理規定の制定、運用、備付け

 

システムを導入しなくてもできる検索機能の確保の方法

専用のシステムを導入しなくても次のいずれかの方法で対応が可能です。

表計算ソフト等で索引簿を作成する方法

表計算ソフト等で索引簿を作成、表計算ソフト等の機能を使って検索する方法です。索引簿のサンプルは国税庁HPに掲載しています。

規則的なファイル名を付す方法

データのファイル名に規則性をもって「日付・金額・取引先」を入力し、特定のフォルダに集約しておくことでフォルダの検索機能が活用できるようにする方法です。

令和6年以後に行う電子取引データ保存から認められる検索要件不要の要件

税務調査の際に、電子取引データのダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には、次のいずれかに該当すれば検索要件の全てが不要とされています。

前々事業年度等の売上高(営業外収入や雑収入を含まない)が5,000万円以下(令和5年末までは1,000万円以下)であること。

電子取引データを出力した書面で、整然とした形式及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものを税務調査等の際に求められたら提示又は提出の求めに応じることができるようにしていること。

 

 

・保存要件が不要となる猶予処置

電子取引について、税務署長が「要件に従って保存することができなかったことについて相当の理由がある」と認める場合に、出力書面の提示又は提出の求めに応じること ができるようにしているときは、保存時に満たすべき要件が不要となる旨の規定が設けられています。相当な理由とは、例えば電磁的記録そのものの保存は可能であるが、保存要件に従って保存するためのシステム等や社内のワークフローの整備が間に合わない等といった、自己の責めに帰さないとは言い難いような事情も含め、要件に従って電磁的記録の保存を行うための環境が整っていないよう場合です。保存時に満たすべき要件に従って保存できる環境が整うまでは、そうした保存時に満たすべき要件が不要となります。 一方で、システム等や社内のワークフローの整備が整っており、保存要件に従って保存できるにもかかわらず、資金繰りや人手不足等の理由がなく、そうした要件に従って電磁的記録を保存していない場合には、この 猶予措置の適用は受けられないことになります(取扱通達7-12)。 なお、この猶予措置の適用を受けるに当たり税務署への事前申請等の手続は必要ありません。

・おわりに

2024年1月1日から始まる電子取引データ保存の義務化について、解説いたしました。当所では、電子取引データの保存義務に対応しているTKC会計ソフトの導入を推進しております。また、経理業務の電子化、効率化やリモートワークの対応、SDGsの観点から紙での資料保存を辞め、全ての国税関係書類の電子化を進めております。今回の電子取引データの保存の義務化への対応を機に、書類の電子化を進めてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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