回収不能な売掛金の処理!「形式上の貸倒れ」と備忘価額のポイント
2026/03/17
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
「取引先からの入金が途絶えてしまった」「少額の売掛金がずっと残っている」といった売掛金の未回収問題は、多くの経営者や経理担当者を悩ませる種です。通常、税務上において貸倒損失を計上するハードルは高いですが、売掛債権については特例的な取扱いが存在します。今回は、一定の要件を満たすことで貸倒損失として処理できる「形式上の貸倒れ」について、わかりやすく解説します。
1.「形式上の貸倒れ」とは?対象となる債権に注意!
形式上の貸倒れとは、取引慣行上、担保等によって保全を行うことが少ない実情を考慮して設けられた特例的なルールです。ただし、すべての債権に認められるわけではなく、対象となるのは「売掛債権(売掛金、未収請負金など)」に限定されています。貸付金やそれに準ずる債権は対象外となりますので注意が必要です。
また、この特例は「継続的な取引を行っていた債務者」に対する債権を対象としているため、たまたま行った不動産取引などの単発取引から生じた売掛債権には適用できません。
2.形式上の貸倒れが認められる2つの要件
以下のいずれかの形式要件を満たした場合に、形式上の貸倒れとして認められます。
①取引停止から1年以上経過した場合
継続して取引していた債務者の資産状況や支払能力が悪化し、取引を停止するに至った場合が前提となります。 以下の3つのうち、最も遅い時から1年以上経過していることが要件です。
・債務者との取引を停止した時
・最後の弁済期
・最後の弁済の時:手形のジャンプ(支払期日の延期)や少額の回収があった場合は、その時が起算点となり期間がリセットされてしまうため、注意が必要です。
②取立費用が売掛債権の総額を上回る場合
遠隔地の取引先などで、同一地域の債務者に対する売掛債権の総額よりも、取立てに要する旅費などの費用(交通費や宿泊代など)のほうが高くついてしまう場合です。このケースでは、債務者に対して支払いを督促したにもかかわらず弁済がないことが条件となります。
3.経理処理の最重要ポイント「備忘価額(1円)」
形式上の貸倒れを適用して損金経理をする際、絶対に忘れてはいけないのが「備忘価額」を残すことです。 これは、法律上はまだ売掛債権が存在している状態での特例処理であるため、その後の回収状況などの推移が帳簿上でわかるようにしておく必要があるためです。
具体的には、売掛債権の全額を貸倒れとして落とすのではなく、必ず「1円」の帳簿価額を残して(控除した残額を)貸倒れとして処理し、得意先元帳などの補助簿を閉鎖せずに残しておく必要があります。もし後日回収できた場合には、その時点で益金として算入する処理を行います。
まとめ
回収不能となった売掛金は、要件をしっかりと確認し「形式上の貸倒れ」を活用することで、適正に損金として処理することが可能です。ただし、要件の判定や損金経理の時期には慎重な判断が求められます。判断に迷われた際や、不良債権の処理でお困りの際は、ぜひ渋谷区恵比寿の税理士法人小原会計までお気軽にご相談ください!
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