【令和8年度税制改正】インボイス制度の経過措置が見直しへ!「2割特例」や「80%控除」はどう変わる?
2026/02/16
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
令和5年10月に導入された消費税のインボイス制度は、多くの事業者にとって大きな転換点となりました。制度の定着に向け、これまで事務負担に配慮した経過措置が設けられてきましたが、令和8年度税制改正によってその内容が大きく変わることになりました。
今回は、令和7年12月26日に閣議決定された「令和8年度税制改正の大綱」に基づき、見直しが予定されている2つの重要な経過措置について解説します。
このブログ記事のポイント
・令和8年度税制改正によって、インボイス制度の2つの経過措置が見直されることを確認する。
・いわゆる「2割特例」は終了し、個人事業者に限り消費税の納税額を売上税額の「3割」とすることができる措置が講じられる(令和9年分および令和10年分)。
・免税事業者等からの課税仕入れについて、控除できる期間が2年延長されるとともに、その控除可能割合も見直される。
1.インボイス制度の経過措置:「2割特例」から「3割特例」へ
これまで、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者となった小規模事業者を対象に、消費税の納付税額を売上に係る消費税額の2割とすることができる「2割特例」が設けられていました。
この特例は、事前の届出が不要で申告時に選択できるため、事務負担を大幅に軽減できるメリットがありました。しかし、令和8年度税制改正により、この仕組みが大きく変わります。
①法人は終了、個人事業者は「3割特例」へ
法人を対象とした「2割特例」は当初の予定通り終了します。一方で、個人事業者(これまで2割特例の対象となっていた方を含む)については、令和9年分および令和10年分の2年間に限り、納税額を売上税額の「3割」とすることができる措置が講じられます。
この改正により、現在2割特例を適用している個人事業者は、実質的に納税額が増えることになります。
②簡易課税制度の検討が必要
納税額の変動に備え、今後は「簡易課税制度」の適用を検討する必要が出てくるでしょう。
簡易課税制度とは、基準期間(個人事業者は前々年、法人は原則として前々事業年度)の課税売上高が5,000万円以下の場合に選択できる制度です。実際の仕入税額を計算する代わりに、売上税額に事業区分ごとの「みなし仕入率」を乗じて控除額を算出します。
| 事業区分 | 内容 | みなし仕入率 |
| 第1種事業 | 卸売業 | 90% |
| 第2種事業 | 小売業等 | 80% |
| 第3種事業 | 建設業、製造業等 | 70% |
| 第4種事業 | 飲食店業等 | 60% |
| 第5種事業 | サービス業等 | 50% |
| 第6種事業 | 不動産業 | 40% |
例えば、第1種や第2種の事業者の場合、みなし仕入率を適用した方が「3割特例」よりも税負担を抑えられる可能性があります。ただし、この制度を利用するには事前の届出が必要です。
2.インボイス制度の経過措置:「80%控除」の期間延長と割合の見直し
インボイス制度では、原則としてインボイス発行事業者以外(免税事業者など)からの仕入れについては仕入税額控除ができません。しかし、急激な取引排除を防ぐため、一定割合を控除できる経過措置が設けられています。
今回の改正では、この控除できる期間が2年延長されるとともに、控除割合が段階的に引き下げられることになりました。
控除可能割合のスケジュール
改正後のスケジュールは以下の通りです。
|
期間 |
控除可能割合 |
| ~令和8年9月30日まで | 80% |
| 令和8年10月1日~令和10年9月30日まで | 70% |
| 令和10年10月1日~令和12年9月30日まで | 50% |
| 令和12年10月1日~令和13年9月30日まで | 30% |
当初の予定では令和8年10月から「50%控除」に下がるはずでしたが、新たに「70%控除」の期間が設けられ、全体として制度が後ろ倒しになる形です。
①適用を受けるための要件
この経過措置を適用するための要件に変更はありません。以下の保存が必要となります。
・区分記載請求書と同様の事項が記載された請求書等の保存
・特例を受ける課税仕入れである旨(80%控除等)を記載した帳簿の保存
控除割合が段階的に下がるため、免税事業者等と取引がある事業者は、令和8年9月30日までに会計システムの改修や取引内容の再確認といった準備を進めておくことが重要です。
まとめ
令和8年度税制改正により、インボイス制度の経過措置は「負担増を伴う存続」と「期間の延長」という複雑な動きを見せています。
特に個人事業者の方は、従来の「2割」から「3割」への変更、あるいは簡易課税への移行など、自身の事業形態に合わせたシミュレーションが欠かせません。また、仕入れ側に立つ事業者も、控除割合の変更に合わせて管理体制を見直す必要があります。
当事務所では、渋谷・恵比寿エリアのスタートアップや起業家の皆様が、こうした複雑な税制改正に柔軟に対応できるようサポートしております。今後の資金繰りや申告への影響が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
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