スタートアップ必見!資金繰りを楽にする「運転資金」の公式と3つの要素(恵比寿・渋谷の税理士)
2025/10/16
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
【恵比寿・渋谷の税理士が解説】企業活動の生命線!「運転資金」とは何か?
企業活動を行うと、必ずモノの流れとカネの流れの両方が発生します。例えば、原材料を仕入れればその代金を支払い、設備を導入すればその費用を支払います。反対に、製品を顧客に販売すれば、販売代金を受け取ることになります。
企業が必要とする資金のことを企業の資金需要といい、これは景気の状況によって増減します。景気が良くなると、在庫を積み増したり、生産能力を引き上げたりするために資金需要は増加し、景気が後退すると資金需要は縮小するのが一般的です。
企業の資金需要は、大きく分けて運転資金、設備資金、その他の資金需要の3つに分類されます。
今回は、このうち企業の「通常の営業活動に伴って発生する資金需要」である運転資金について詳しく解説します。
1.運転資金とは:売上を回収するまでの「つなぎ資金」
運転資金とは、企業が通常の営業活動、すなわち原材料の仕入れ、従業員への給与の支払い、在庫の保有といった活動に伴って発生する資金需要のことです。
多くの場合、企業活動では資金の「受取」よりも、資金の「支払」が先行します。仕入れや給与の支払いはすぐに発生しても、販売した代金を実際に受け取る(現金化する)までには時間がかかります。この、売上を回収するまでの間に必要となるつなぎの資金が、まさに運転資金なのです。
運転資金は、企業の売上の規模が大きくなればなるほど、それに比例して増加します。これは、売上規模の拡大に伴い、仕入れに係る費用、在庫のための費用、従業員への給与、そして販売先から未だ受け取っていない代金(売掛金)などがすべて増加するためです。
運転資金の2つの種類
運転資金は、その発生の背景から「経常運転資金」と「増加運転資金」の2種類に分けられます。
①経常運転資金
経常運転資金とは、企業が一定の規模で事業を継続していくために恒常的に必要となる運転資金のことです。同じ仕入先から一定額を仕入れ、販売先に一定の決済条件で一定額を販売していくという、日常の取引で常に必要となる資金です。
必要な経常運転資金の水準は、「月商の何か月分」という形で表現されることが多くあります。商品の回転が速い業種や現金販売の業種など、代金の回収が早い業種の場合は、この水準は少なくて済みます。一方、売上が現金になるまでに時間を要する業種の場合には、この数字は大きくなります。
②増加運転資金
増加運転資金とは、企業が生産や売上を増やすために一時的に必要となる運転資金のことです。
生産や売上を増やそうとすると、従来よりも多くの原材料を仕入れ、より多くの在庫を持つ必要が生じます。また、売掛金も増加します。これに伴い、必要となるつなぎ融資が増加します。
例えば、月商が100万円から150万円に増加し、必要な運転資金の水準が月商の3か月分で変わらない場合を考えます。
増加後の必要運転資金:150万円 × 3ヵ月 = 450万円
従来の経常運転資金:100万円 × 3ヵ月 = 300万円
この場合、150万円(450万円 - 300万円)の資金が追加で必要となります。この150万円が、売上増に必要な増加運転資金です。
2.運転資金を左右する3つの主要因
運転資金の大きさを決める主要な要因は、売掛金、在庫、買掛金の3つです。
①売掛金
商品を販売しても、販売先がすぐに売上金を支払ってくれるとは限りません。一般的に、月末に1ヵ月分の売上を集計し、翌月にまとめて支払いを受けるといった「月締め翌月払い」といった商習慣が一般的です。
このため、商品を販売先に納入しても、売上金がもらえない未収金の状態が一時的に生じます。この状態にある代金を売掛金と呼びます。
売掛金の金額が大きくなればなるほど、必要な運転資金は増加し、自社の資金繰りを圧迫することとなります。
例として、仕入先から700万円仕入れて、販売先に1,000万円で販売したとします。利益は300万円ですが、仕入先への700万円の支払いが当月中にあり、売掛金の回収が来月となる場合、当月中に700万円の資金不足が生じます。この700万円を運転資金として調達する必要が出てくるのです。
②在庫
商品を販売するためには、顧客ニーズに即応できるように、一定の在庫を手元に保有することが不可欠です。しかし、在庫を保有するためには、それに対応した資金が必要になります。
例えば、100万円分の在庫を現金100万円で購入した場合、この在庫が売れて現金となるまでに3ヵ月かかるとすると、その3ヵ月分の運転資金が必要になります。
そのため、在庫を多く持つことは、その分多くの運転資金が必要となり、資金繰り上はマイナスとなります。資金繰りをスムーズにするためには、在庫を適正な水準にコントロールする必要があります。在庫は資金を使って保有している状態であるため、「在庫を寝かせておくことは資金を寝かせておくのと同じ」とも言われます。効率的な経営のためには、在庫は少ないに越したことはありません。
また、在庫が増加する背景には2パターンがあります。
前向きの在庫:将来の売上増加に向けて、景気回復を見込んだ増産や、新製品の投入、季節商戦に備えたストックなど、意図して積極的に在庫を積み増す場合。
後ろ向きの在庫:生産量や仕入れは増加していないのに、売上が落ち込んで結果的に在庫が増加してしまう場合。
どちらの場合も在庫資金が必要となりますが、企業業績や景気への影響という側面では全く異なるため、在庫の積み増しが「前向き」なのか「後ろ向き」なのかを注意して見極める必要があります。
③買掛金
買掛金とは、仕入れの代金の支払いを即金ではなく、売上と同様に「月締め翌月払い」といった形で、支払いを一か月先にしてもらうような、仕入れたがまだお金を支払っていない状況を指します。
売上の受け取り条件と仕入れの支払い条件が同様であれば、支払と受け取りが同時期に行われるため、仕入れと売上に関する運転資金は必要ありません。
一般に、この受取条件と支払い条件は、取引上の力関係で決まることが多いです。大量購入を行う大口取引先であれば、支払期間が長いなど有利な条件で支払いができる可能性が高まります。一方、自社でしか取り扱っていない製品を販売するなど競争上優位な立場にある場合は、即時支払いなど有利な受取条件で販売できる可能性があります。
3.運転資金の公式:資金繰りを可視化する
運転資金の必要額は、上記で述べた3つの主要因を用いて、以下の公式で表されます。
運転資金 = 売掛金 +在庫 - 買掛金
売掛金:売上たが、まだ現金化していない資金
在庫:仕入れたが、まだ売れていないもの(現金化していない資金)
買掛金:仕入れたが、まだ支払っていない資金
この公式から分かるように、売掛金と在庫が増加すればするほど、必要な資金は膨らみ、資金繰りは苦しくなります。一方で、買掛金が増えると、その分だけ運転資金は少なくて済み、資金繰りは楽になります。
このように、販売先からの受取条件と仕入先への支払条件、そして在庫水準が、必要な運転資金の大きさに大きく影響を与えているのです。
運転資金は、企業の「血液」とも言える重要な要素です。渋谷や恵比寿でスタートアップ・起業をお考えの皆様は、自社のビジネスモデルにおける売掛金、在庫、買掛金のバランスを考慮し、どれくらいの運転資金が必要になるのかをしっかり把握することが成功への第一歩となります。
資金繰りや経営計画について、ご不明な点がございましたら、税理士法人小原会計までお気軽にご相談ください。
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税理士法人小原会計/小原崇史公認会計士事務所
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