起業家必見! 福利厚生費で損しないための税務知識を恵比寿の税理士が解説
2025/08/07
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
社員のモチベーション向上や人材確保のために、福利厚生を充実させている企業は多いのではないでしょうか。福利厚生の費用は税務上、「福利厚生費」として経費に計上できますが、一定の要件を満たさない場合は「給与」として扱われる可能性があり、従業員と会社双方に税負担が生じる場合があります。
今回は、福利厚生費として認められるための要件や、給与として取り扱われてしまうケースについて解説します。
1.「福利厚生費」とはどのような費用?
「福利厚生費」は、従業員の慰労や生活の充実等のために要する費用を指し、「法定福利費」と「法定外福利費」の2種類に分けられます。
・法定福利費:健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などの社会保険料のうち、会社負担が義務付けられている部分です。
・法定外福利費:企業が任意で設ける福利厚生のための費用で、一般的に「福利厚生費」といえばこちらを指します。社宅の提供、社員旅行(社内レクリエーション)、食事代の補助、健康診断費用などが含まれます。
法定外福利費を税務上、福利厚生費として認めてもらうためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
・全従業員が対象であること:特定の従業員だけを対象にしている場合は、福利厚生費として認められません。
・現金や換金性の高いものの支給ではないこと:現金や商品券などを支給した場合は、原則として給与と見なされます。
・社会通念上妥当な金額であること:一般的な水準から著しく高額な場合は、福利厚生費として認められません。
これらの要件を満たすためには、福利厚生に関する規定を定め、社内に周知しておくことが望ましいでしょう。
2.よくある5つのケース|福利厚生費になる?給与になる?
ここでは、実務でよくある5つのケースについて、福利厚生費になる場合と給与になる場合の判断基準を解説します。
(1)住宅手当や社宅の提供
会社が従業員に社宅や寮を提供する場合は、従業員から家賃相当額の50%以上を受け取っていれば、会社負担分は福利厚生費となります。従業員からの負担が50%未満、あるいは無償で提供した場合は、企業負担分がその従業員への給与として扱われます。
一方、従業員が直接契約している賃貸住宅の家賃補助や住宅ローン補助など、従業員に現金で支給する「住宅手当」は給与として扱われます。
(2)社員旅行の費用
従業員の慰安を目的とした社員旅行の費用は、以下の2つの要件をいずれも満たしている場合、福利厚生費となります。
①4泊5日以内(海外旅行の場合は現地での滞在日数)の旅行であること。
②全従業員を対象とした旅行で、参加人数が職場全体の50%以上であること。
もし、旅行中に一部の従業員のみが参加するゴルフコンペ等があり、その費用を会社が負担した場合は、その費用は参加した従業員への給与として扱われます。また、取引先の接待を目的とした旅行は、交際費となります。
(3)創業記念品や永年勤続者への報奨
創業記念品や永年勤続者への報奨として記念品や旅行券などを支給する費用は、以下の要件を満たすことで福利厚生費として認められます。
【創業記念品の場合】
①社会一般的に記念品としてふさわしいものであること。
②処分見込価額が10,000円(税抜)以下であること。
③一定期間ごとに行う行事で支給する場合は、おおむね5年以上の間隔を空けること。
【永年勤続者への報奨の場合】
①勤続年数や地位に照らして社会通念上妥当な金額であること。
②勤続年数が10年以上の人を対象とすること。
③同じ人が2回以上表彰を受ける場合は、おおむね5年の間隔を空けること。
いずれの場合も、記念品や旅行券の代わりに現金や商品券を支給すると、その全額が給与扱いとなるため注意が必要です。
(4)健康診断の費用
全従業員を対象とした健康診断の費用は、会社が医療機関へ直接支払うか、従業員が立て替えた費用を後日精算する形で会社が負担すれば、福利厚生費として認められます。ただし、一般的な健康診断の範囲を超える高額な費用は、給与として扱われる場合があります。
(5)従業員への食事の支給やまかない費用
従業員に食事を支給する、あるいはまかないを提供する場合は、以下の2つの要件をどちらも満たせば福利厚生費となります。
①従業員が食事の価額の半分以上を負担していること。
②会社負担分が1か月あたり3,500円(税抜)以下であること。
これらの要件を満たせば、食事に限定したチケットを配布する場合も福利厚生費となりますが、食事手当として現金を支給すると給与と見なされます。
まとめ
福利厚生は従業員のモチベーションを高める上で非常に重要ですが、税務上の要件をクリアしなければ、会社と従業員双方に余計な税負担が生じる可能性があります。
福利厚生の導入や見直しを検討する際は、これらの要件をしっかりと確認しましょう。
ご不明な点があれば、お気軽に税理士法人小原会計までご相談ください。
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