その費用、今期で本当にOK?発生主義の基本と注意点
2025/05/07
渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。
日々の経理処理の中で、「これって今期の費用?それとも翌期?」と迷った経験はありませんか?とくに決算時期が近づくと、どの費用をいつ計上するかの判断はとても重要です。今回は、費用計上の基本ルールと、税務上の取り扱いについて、よくある誤解を実際の事例を交えて解説します。
1.「費用」の計上にはルールがある!
そもそも「費用」とは、会社が収益を得るために必要となる支出のことです。そのため、会計の世界では「費用収益対応の原則」というルールがあります。これは、「その収益を得るために使った費用は、その収益と同じ期間に計上しようね」という考え方です。
つまり、
「今期の費用は今期に、翌期の費用は翌期に」
というのが、費用計上の大原則なのです。
2.税務上の「損金」とは?
会計上の費用がすべて税務でもそのまま費用として認められるわけではありません。
税務上では、費用は「損金」と呼ばれ、以下のような要件を満たす必要があります。
損金計上の3要件
①債務が成立していること(契約・申込などが済んでいる)
②原因事実が発生していること(実際にサービス提供等があった)
③金額が合理的に算定できること(請求書などがある)
この3つの条件をすべて満たしたときに初めて、その費用は「損金」として計上できます。
3.よくあるミスを事例で確認!
Case❶ 通信講座の教育費、払った月に全額計上?
3月決算法人で、4月入社の新入社員向け通信講座を3月に申込・支払。全額を3月の「教育費」として処理。
→NGです!
3月には実際に役務提供(講座の開始)が行われていないため、当期の費用にはなりません。
この場合、「前払費用」として資産に計上し、4月以降に費用化する必要があります。
Case❷ 決算月に買ったタブレットPC、すぐに費用でOK?
3月決算法人が、3月に8万円のタブレットPCを10台購入し「消耗品費」として処理。
→注意が必要です!
10万円未満であれば一括費用処理も可能ですが、実際に当期中に「事業の用に供した」(業務に使った)場合に限られます。
未開封で4月以降に使用した場合には、「貯蔵品」として翌期に繰り越すべきです。
Case❸ 機械購入時の引取運賃、経費で処理?
6月決算法人が機械購入時の引取運賃(6月25日付請求)を「運賃」として処理。
→仕訳が誤っています!
このような固定資産の取得に直接関係する費用は、「機械装置」の取得価額に含めて処理する必要があります。
したがって、正しくは「(借方)機械装置/(貸方)未払金」となります。
また、減価償却費の計算は、「事業の用に供した日」からスタートですので、稼働開始日も重要です。
4.経営の「いま」を正しく知るために
費用を正しく計上するために大切な考え方が「発生主義」です。
これは、現金の支払・入金とは関係なく、取引の発生に基づいて会計処理を行う方法です。
一方、「現金主義」は実際の出入りに応じて記帳するため、経営状況の把握が遅れるというデメリットがあります。
「発生主義」で費用と収益を正しく対応させることが、経営の現状を正しく把握するうえで不可欠です。
5.どの企業にも必要な「正しい費用計上」
事業の規模や業種、所在地を問わず、「正しい費用の計上」はすべての企業に共通する重要なテーマです。
とくにスタートアップや中小企業においては、限られたリソースで的確な経理処理を行うことが、資金繰りや経営判断の質に直結します。
税理士法人小原会計では、法人の設立直後から日常の記帳・決算・税務申告まで、幅広いサポートを行っています。
「これは今期の費用?」「前払費用として処理すべき?」といった経理・税務の疑問があれば、ぜひご相談ください。
まとめ
費用計上は、「いつ・どのように・いくらで」記録するかによって、経営の数字の見え方が大きく変わります。
ポイントは次の通りです。
・費用は収益と対応させる(費用収益対応の原則)
・損金として認められるには3要件を満たすことが必要
・ケースによっては「前払費用」「貯蔵品」「資産計上」が必要
・正しい処理のためには「発生主義」の理解が不可欠
誤った費用処理は、節税どころか思わぬ税務リスクにもつながります。
経理担当者だけでなく、経営者の皆さまも、費用計上のルールについてぜひ一度見直してみてください
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税理士法人小原会計/小原崇史公認会計士事務所
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