小原崇史公認会計士事務所

社員旅行と税金の関係を解説:課税対象と非課税の境目とは?

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社員旅行と税金の関係を解説:課税対象と非課税の境目とは?

社員旅行と税金の関係を解説:課税対象と非課税の境目とは?

2025/04/18

渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。

社員旅行や研修旅行は、従業員の士気向上やチームビルディング、福利厚生の一環として多くの企業で実施されています。

ただし、こうした旅行にかかった費用を会社が負担した場合、その費用が従業員への給与として課税されるかどうかは、旅行の内容や形式により異なります。

この記事では、従業員レクリエーション旅行および研修旅行に関する税務上の基本的な考え方、課税・非課税の判断基準、そして実際の事例を踏まえて、わかりやすく解説します。

 

1.従業員レクリエーション旅行の基本的な考え方

従業員レクリエーション旅行とは、従業員の慰安や親睦、勤労意欲の向上などを目的として会社が主催する社員旅行を指します。

この旅行について会社が費用を負担した場合、それが従業員の給与として課税されるか否かは、旅行の内容、規模、目的、費用の負担割合などを総合的に判断して決定されます。

 

①非課税となる要件(給与とならない要件)

従業員レクリエーション旅行については、以下の2つの要件を満たす場合には、原則として会社の負担する費用は給与として課税されません。

・旅行期間が4泊5日以内であること(海外旅行の場合は、現地滞在日数が4泊5日以内であること)

・旅行に参加した従業員の割合が、全従業員の50パーセント以上であること(支店や工場ごとに実施する場合は、各事業所単位での参加率)

さらに、旅行が社会通念上一般的なレクリエーション旅行と認められることも重要です。

役員のみが参加する旅行や、実質的に私的旅行と見なされる内容である場合、あるいは金銭との選択制となっている旅行は、非課税の対象にはなりません。

 

②少額不追求の原則

税務においては、「少額の経済的利益であれば課税しない」という少額不追求の原則があります。

レクリエーション旅行においても、この原則が適用される場合があります。

例えば、旅行費用のうち会社が負担する額が常識的な範囲内であり、従業員も一定額を負担しているようなケースでは、経済的利益の額が少額であると判断されることが多く、課税の対象とはなりません。ただし、全体の内容によって判断されるため、負担額の多寡だけで判断することはできません。

 

2.参加者が50パーセント未満だった場合の取り扱い

旅行の参加者が全体の50パーセント未満であった場合、形式的には課税対象となることがありますが、実際の税務判断では、旅行の性格や実施の背景を総合的に考慮して判断されます。

たとえば、会社の福利厚生規程に基づき全従業員を対象に企画され、公平な募集が行われている場合であれば、参加者が少なかったとしても、従業員個々の都合によるものであるため、旅行そのものが課税対象になるとは限りません。

さらに、旅行期間が4泊5日以内であり、会社の負担額が社会通念上妥当な範囲に収まっている場合には、課税されない取り扱いとなる可能性が高くなります。

 

3.創立記念や報奨旅行としての取り扱い

レクリエーション旅行とは別に、創立記念事業や報奨として実施される旅行については、取り扱いが異なります。

たとえば、創立100周年記念事業の一環として、営業成績が顕著な従業員を対象に抽選で選ばれた者を海外旅行に招待するようなケースがあります。

このような場合、抽選という手法によって参加者を選定したとしても、その前提として一定の成績を挙げた者のみを対象にしていることから、旅行に招待されるという経済的利益は、偶然ではなく「勤務の対価」としての性格を有すると判断されます。

結果として、このような記念旅行や報奨旅行にかかる会社の費用負担は、たとえ抽選形式であっても、給与所得として課税される取り扱いとなります。

次のような具体例では、課税対象となることが明確です。

・対象者:営業成績が顕著な約2,000人の中から抽選で選ばれた20人
・内容:4泊5日の海外旅行(費用:約30万円)
・目的:創立100周年記念行事の一環
・理由:抽選制で過当競争を避ける意図あり

このようなケースでは、成績優秀者であることを参加条件としているため、たとえ抽選であっても「業績に対する報奨」としての性格を持つと認定されます。したがって、旅行による経済的利益は給与として課税されます。

 

4.研修旅行に関する税務上の取り扱い

研修旅行については、業務に直接必要であると認められる場合に限り、会社の費用負担は非課税とされます。

一方で、観光が中心の内容である場合や、業務との関連性が乏しい旅行は、たとえ名称が「研修旅行」とされていても課税対象になります。

具体的には、以下のようなものは課税対象となる可能性が高いとされています。

・観光を主な目的とする団体研修旅行
・観光ビザで渡航する海外視察旅行
・旅行会社主催の観光を伴うツアー型研修旅行

これらの場合は、費用の全額または業務に直接関係ない部分のみ、従業員の給与として取り扱う必要があります。

 

5.具体的な事例

従業員旅行の課税・非課税については、旅行の目的や参加状況、費用の負担割合などを総合的に判断する必要があります。

以下に、代表的な事例とその課税可否、理由を整理してご紹介します。

事例1

:旅行期間3泊4日、旅行費用15万円(会社負担7万円・従業員負担8万円)、参加率100%
判断:非課税
理由:旅行期間・参加割合・費用の妥当性など、すべての要件を満たしており、社会通念上一般的なレクリエーション旅行と認められるため。

 

事例2

:旅行期間4泊5日、旅行費用25万円(会社負担10万円・従業員負担15万円)、参加率100%
判断:非課税
理由:旅行期間・参加割合・費用水準がすべて適正であり、福利厚生としての趣旨を逸脱していないため。

 

事例3

:旅行期間5泊6日、旅行費用30万円(会社負担15万円・従業員負担15万円)、参加率50%
判断:課税対象
理由:旅行期間が4泊5日を超えており、社会通念上一般的なレクリエーション旅行とは認められないため。

 

事例4

:旅行期間3泊4日、旅行費用15万円(会社負担7万円・従業員負担8万円)、参加率38%
判断:非課税の可能性あり
理由:参加率は50%未満だが、全従業員を対象に公平な募集がされており、旅行の内容や費用も妥当な範囲であるため、社会通念上のレクリエーション旅行と認められる。

 

事例5(創立記念・報奨旅行)

:成績優秀者2,000人から抽選で選ばれた20人を4泊5日の海外旅行(会社負担30万円)に招待
判断:課税対象
理由:抽選で参加者を決めているものの、抽選対象は成績優秀者に限定されており、勤務成績に対する報奨としての性質が強いため、給与として課税される。

 

まとめ

従業員旅行に関する税務上の取り扱いは、旅行の目的、内容、参加割合、会社の費用負担の程度、選定方法などを総合的に勘案して判断されます。

旅行を非課税で実施するためには、以下のような点に留意することが大切です。

・旅行期間は4泊5日以内に設定する
・できる限り参加率50パーセント以上を確保する
・福利厚生規程に基づいて公平に実施する
・費用負担は社会通念上妥当な範囲にとどめる
・報奨目的の旅行や抽選制であっても業績評価が前提の場合は課税対象となる点に注意する

従業員旅行を企画する際は、事前に税務リスクを確認し、トラブルのない運営を心がけましょう。

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