小原崇史公認会計士事務所

交際費等と広告宣伝費・福利厚生費・寄附金の区分について解説【法人税のポイント】

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交際費等と広告宣伝費・福利厚生費・寄附金の区分について解説【法人税のポイント】

交際費等と広告宣伝費・福利厚生費・寄附金の区分について解説【法人税のポイント】

2025/02/20

渋谷区恵比寿でスタートアップ、起業、会社設立支援を行っている税理士法人小原会計の公認会計士・税理士の小原です。

法人が事業活動を行う中で、「この支出は交際費なのか、広告宣伝費なのか?」あるいは「福利厚生費として扱えるのか?」といった疑問に直面することは少なくありません。

特に、法人税の計算においては、交際費等の損金算入に制限があるため、適切に区分することが重要です。

今回は、交際費等と広告宣伝費・福利厚生費・寄附金との区分について詳しく解説していきます。

 

1. 交際費等とは?

交際費等とは、法人が得意先や仕入先などの事業関係者に対して、接待や贈答、供応(接待飲食)などの目的で支出する費用を指します。

具体的には、以下のようなものが該当します。

・取引先との飲食費(接待)

・贈答品(取引先向けの高額なギフト)

・ゴルフや旅行の接待費用

・接待を目的としたイベント招待費

交際費等は法人税法上、一定の制限があり、すべてを損金算入(経費計上)できるわけではありません。

そのため、他の勘定科目との区分が重要になります。

 

2. 交際費等と広告宣伝費の違い

広告宣伝費とは、企業が自社の商品やサービスの認知度を高め、販売促進を目的として支出する費用を指します。

以下のようなケースは、交際費等ではなく広告宣伝費に該当します。

①広告宣伝費と判断される支出例

・ノベルティ(カレンダーや手帳、手ぬぐいなど)不特定多数の顧客に配布する場合は交際費等に該当せず、広告宣伝費として扱われます。

・消費者向けのキャンペーンや景品

・小売業者が一般消費者に景品を配る場合

・商品購入者に対し、あらかじめ広告したうえで旅行や観劇などに招待する場合

・試供品の提供

・工場見学者への試食・試飲の提供

・新商品サンプルの無料配布

 

②注意すべきポイント

広告宣伝費として認められるためには、不特定多数の者を対象とすることが必要です。

例えば、医薬品メーカーが特定の病院に試供品を提供する場合などは、不特定多数ではないため交際費等とみなされる可能性があります。

 

3. 交際費等と福利厚生費の違い

福利厚生費とは、従業員の福利厚生のために法人が支出する費用を指します。

以下のような支出は、交際費等ではなく福利厚生費として認められます。

①福利厚生費と判断される支出例

・社内イベントの費用

社員旅行、運動会、演芸会などの費用

・社内の飲食費

創立記念日や新社屋落成式で、社内の従業員に一律に提供される通常の飲食費

・従業員向けのお祝い金や見舞金

結婚祝、出産祝、弔慰金、病気見舞金など

 

②注意すべきポイント

福利厚生費と認められるためには、従業員全体を対象にしていることが重要です。特定の従業員だけを対象とした豪華な接待は、福利厚生費ではなく交際費等と判断される可能性があります。

 

4. 交際費等と寄附金の違い

寄附金とは、法人が金銭や物品を無償で提供する場合の支出を指します。

以下のような支出は、交際費等ではなく寄附金として扱われます。

①寄附金と判断される支出例

・社会貢献活動への拠出

社会福祉団体、政治団体への寄附

災害支援としての寄附金

・神社・仏閣への寄贈金

祭礼や行事に対する寄付

 

②注意すべきポイント

寄附金として処理するか交際費等とするかの判断は、支出の目的が重要です。

例えば、取引先の関係者の慶弔費としての支出は交際費等とされる可能性が高いですが、事業に無関係な団体への寄附は寄附金とみなされます。

 

5. まとめ(税務処理のポイント

交際費等は損金算入に制限があるため、広告宣伝費・福利厚生費・寄附金との違いを正しく理解し、適切に区分することが重要です。

 

項目 交際費等 広告宣伝費 福利厚生費 寄附金
対象 取引先との接待や贈答 販売促進を目的とした支出 従業員の福利厚生目的 社会的な貢献・寄附
接待飲食費、ゴルフ、贈答品 試供品、景品、広告キャンペーン 社員旅行、慶弔費 社会福祉団体や神社への寄附
税務上の取扱い 損金算入に制限あり 全額損金算入可 全額損金算入可 一部のみ損金算入可

 

適切な処理を行うことで、税務リスクを回避しつつ、適正な経費計上が可能になります。

税務調査時に問題とならないよう、社内ルールを整備し、証拠資料(領収書・請求書・支出目的の記録など)をしっかり管理しておきましょう。

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